大変な苦境に立たされているネタニヤフ首相だが、1日からこれまでにかけて、国民への呼びかけをしたり、犠牲者家族に電話をかけたた。犠牲者家族の中には、ネタニヤフ首相の電話に出ることを拒否した家族もあった。また2日夜には、臨時の記者会見を行った。
1)1日犠牲者遺体が戻ってきた朝の国民へのメッセージ
ネタニヤフ首相は、6人の遺体が戻ってきた、1日朝、国民へのメッセージを発信。深い痛みを共有していると話をはじめ、これまで全力で交渉にあたってきたが、ハマスが常にそれを断ってきたと説明した。
「特に最近の交渉には力を入れていたが、ハマスは人質6人を殺害するという返事をしてきた。人質を殺すハマスは、いかなる交渉にも応じないということだ」と語った。しかし、これで諦めず、政府はこれからも、残りの人質を取り戻すと同時に、確かに私たちの存在の治安守るための交渉にのぞんでいくと語った。
しかし、このメッセージは逆に自分の不備に対する言い訳だとも言われ、そのままテルアビブだけで30万近くになるような全国規模の反政府デモと、2日には、全国に拡大するストに発展したのであった。全国ストに対して、ネタニヤフ首相は、ハマスへの指示を表明するようなものだから、やめるように呼びかけていた。
2)犠牲者家族への電話
ネタニヤフ首相は、国として救出できなかった6人には深く謝罪を申し入れている。犠牲者の1人アレックス・ロバノブさん(32)は、ノバ音楽フェスで拉致され、殺されたが、妻と、幼児1人、ロバノブさんが拉致された後に生まれた赤ちゃんが残されている。ネタニヤフ首相は、この家族に電話をかけて謝罪した。しかし、それ以外の家族は、電話にでなかったとのこと。
www.timesofisrael.com/netanyahu-claims-general-strike-is-a-show-of-support-for-sinwar-and-hamas/
3)緊急記者会見:フィラデルフィ回廊から撤退はすべきでない
また、国民からの膨大な反発を受けたネタニヤフ首相は、2日夜、緊急の記者会見を開いた。6人に犠牲者に対する謝罪を表明しながらも、ハマスはこの6人の命の深い代償を払うことになると語った。
また、ガザ地区とエジプトとの国境線であるフィラデルフィ回廊(全長14キロ)から、撤退すべきではないことを強調した。ここがハマスの供給源だからである。
今、交渉で定められている停戦の第一段階の間、42日間だけと理解して、一時的にでも撤退したら、2度と戻れなくなる可能性が高いと説明した。
そうなれば、ハマスはまた復帰して、10月7日以上のことが起こるだろうと述べた。
ネタニヤフ首相が、先週、閣議において、人質救出よりもフィラデルフィ回廊維持を重要視すると表明したことが、6人の殺害の原因になったと非難されていることについては否定した。自分は人質奪回に全力を挙げているとして、6人の殺害は、ハマスが望んでいたことだからそうなったと語った。
これに対し、野党のラピード氏は、それならなぜ、フィラデルフィ回廊奪回をもっと早くしなかったのかと非難した。しかし、これについては、ラピード氏とガンツ氏、またバイデン大統領が、ネタニヤフ首相の足をひっぱっていたからであると筆者は覚えている。
ネタニヤフ首相は、ガンツ氏が戦時内閣を離脱してから、急にフィラデルフィ回廊への攻撃に本格的に着手したという流れだった。またこの時、バイデン大統領も、フィラデルフィ回廊には入るなといい、イスラエルへの武器支援を一時差し止めたのであった。
ではもしハマスが撤退した場合、イスラエルはどうするのかとの質問に対し、イスラエルではない、別の機関や組織が恒久的に、平和を維持できるようになるなら、それでもよいが、今はまだその段階ではないとして、イスラエルが監視する必要があると述べた。
国民から交渉に応じるようにとの訴えが出ていることについては、「6人の市民を殺されたのに、イスラエルが譲歩するべきでない。そんなことをしたら、これからは、もっと人質を殺せばよいと、ハマスに許可を出すようなものだ」と述べた。
戦争集結を決定づけるものは何かと問われると、ネタニヤフ首相は、ハマスがガザを支配しなくなった時だと答えた。