ネタニヤフ首相は国連でのスピーチで、ロハニ大統領は「羊の皮をかぶった狼だ。ロハニ大統領の言葉ではなく、していることに目を向けなければならない。」とダイレクトに言った。
「外交による解決がよいとは皆が思っていることだ。しかし、イランに関しては、軍事攻撃の可能性を含む強力な制裁があってはじめて外交的解決への可能性も高まる。」との見解を述べ、国際社会は制裁を緩和すべきでないと主張。
「単独で(イランに軍事的に)対処しなければならない場合は、単独ででも対処する。」との決意を語った。
パレスチナとの和平について、「イスラエルは、パレスチナ人との和平達成にコミットしている。」としながらも、イスラエルは、治安に関しては決して譲歩しないと言った。
イスラエルが隣国として認めるパレスチナは「非武装で、イスラエルがユダヤ人の国であることを認める。」国だと語った。
ネタニヤフ首相は、後半で、自身の祖父がホロコーストの時代、殴られて血まみれになりながら、昔マカベア戦争で大勝利したユダヤ人が、今は自己防衛すらできないという現状を思い知り、必ずユダヤ人の国に帰ることを誓ったという経験を鮮明に語った。
その結果自分が首相になっている。「イスラエルはユダヤ人の唯一の祖国である。イスラエルが出ていくことはない。」と宣言した。
また聖書のアモス書9章14,15節を英語に続いてヘブライ語で読み、イスラエルと聖書の関係をアピール。ここに書かれているように「イスラエルは二度と引き抜かれることはない。」と締めくくった。
<イランの反応>
イランの国連大使はネタニヤフ首相のスピーチを、軍事的な雰囲気をちらつかせて挑発的だったとコメントした。「イスラエルはイランを攻撃するなど考えない方がいい。イランはいかなる攻撃にも準備できている。」と語った。
イランのザリフ外相は、ネタニヤフ首相を「国連で最も孤立した男」と呼び、「イスラエルは『イランは6ヶ月以内に核兵器を完成する』と過去22年間、言い続けてきた。(しかしまだ一度も完成していない)」として、イスラエルは嘘つきだと言った。
また「イランは、核開発を完全に放棄するべき」と主張するイスラエルに対し、「イスラエルこそNPT(核拡散防止条約)に署名すべきだ。」と主張している。
ケリー国務長官はこれに対し、「今、核兵器問題で立場を明確にしなければならないのはイランの方である。まずは自分の疑惑をはらしてから、他国に指図するべきだ。」と語った。
アメリカは、イランへの対処について、現時点ではネタニヤフ首相と同様の疑いと警戒を持っており、当面、制裁処置の緩和はないと表明している。
<イスラエルの反応>
現在、国際社会がイランに対して外交解決ムードになっている中、イスラエルがあまりに厳しい立場を主張しすぎるのは得策ではないとの意見も出ている。
国家治安研究所(INSS)所長で軍事分析のエキスパート、アモス・ヤディン氏も、イスラエルは今の外交努力がどこへ向かうかをまず見極めるべきだと言っている。