ネゲブ砂漠の中央部にあるクレーター(長さ45キロ、幅10キロ、海抜800メートル)ラモン・クレーター。隕石が落ちて穴になったのではなく、山が侵食してできた珍しい地形である。
モーセ、ヨシュアとともにエジプトから出てきた、かつてのヘブル人も同じ光景を見たことだろう。
ここにあるのがミツペラモンと呼ばれるユダヤ人の町である。この全く不毛に見えるところに、なんと、葡萄畑があり、ワインを製造している。
イスラエルでは、中央部やゴラン高原に葡萄畑があり、世界的にも評価の高いワインが製造されているが、この砂漠のワインも今国際市場に出ようとしているという。
開発者でオーナーのエラン・ラズ氏が、家族とともに、初めてこの地に開拓に来たのは2004年。当時は、全くの砂漠で何もなく、人々はエランさんを気狂い扱いしたという。
しかし、エランさんは、2000年前にナバテア人がワインを製造していたことがわかっていたので、可能性は大きいと思ったと語っている。
しかし年月はかかっている。葡萄を初めて植えたのは2007年。
続いて、2014年に、3カ国(コスタリカ、カリフォルニア、イスラエル)でワイナリーを経営するニーブ・ベン・ヤフダさんが来て、本格的なワイナリー建設が始まった。
今日では、ハイテクの力で、水の調節をコンピューターでできている。ミツペラモンの乾燥した気候と、乾いた土が、意外に葡萄にあっており、虫が来ないという利点もあった。
ただし、ゴラン高原などと違って、ネゲブ砂漠では、ラクダが来て葡萄を食べてしまうというチャレンジもあるとのこと。
最初は30エーカーから始めたが、今では、600エーカーの開拓地にワイナリーが20箇所できた。ここでのワインが市場で販売されるようになったのは2018年からだが、今では20人になったワイナリーのオーナーたちとは、ネゲブ・ワインのブランドを作り、国際市場に乗り出そうとしているとのこと。
また、宿泊施設も作って、砂漠で楽しむワインを楽しめるようになっている。
なお、ミツペラモンでは新しい動きだが、砂漠のワインはここが初めてではない。少し北のキブツ・スデ・ボケルでは、初代首相ベングリオンも開拓したキブツがあり、そこでもすでにワインが製造・販売されている。
また、その先の古代ナバテア人(アラビア半島からのラクダに乗った商人たち)のルートに沿ってワイナリーが25箇所あるとのこと。
荒野と砂漠は楽しみ、荒地は喜び、サフランのように花を咲かせる。盛んに花を咲かせ、喜び喜んで歌う。
レバノンの栄光と、カルメルやシャロンの威光をこれに賜るので、彼らは主の栄光、私たちの神の威光を見る。(聖書イザヤ書35:1-2)