ドーハ攻撃は失敗?ハマス指導者6人のうち2人負傷のみか 2025.9.11

Prime Minister Benjamin Netanyahu speaks in a video message issued on September 10, 2025. (Screenshot/GPO)

ドーハでのハマス指導者6人攻撃の結果は期待薄か

9月9日(火)、イスラエルは、カタールの首都ドーハで、ハマス最高指導者たち6人を標的とした攻撃に踏み切った。6人が全員死亡となれば、ハマス殲滅に大きく近づくことになる。

(Credits: Mahmud Hams/AFP, Louai Beshara/AFP, Hamas, Ashraf Amra/APA/ZUMA Press via Alamy)

イスラエルは、6人がどうなったか慎重に調査しているが、これまでのところわかったことは、標的になった6人のうち、2人が負傷。そのうち1人は重傷となっている。その2人がだれなのかは報じられていない。

新たな報告によると、ドーハには故イシュマエル・ハニエ、その近くにあったアル・ハヤのオフィスはじめ、いくつかのハマス・オフィスが攻撃されていた。

ハニエのオフィスには空爆1発が直撃していたが、主要な標的であったアル・ハヤのオフィスではなかった。

サウジアラビアの情報筋からは、イスラエルが電話で位置情報を確認していたが、電話がオフィスに置いてあるなどで、食い違いが発生したのではないかとも言われている。

まだ断定はできないが、今の所、攻撃が劇的な成功と変化をもたらすものではない流れである。つまり、成功したとは言えない状況のようである。

イスラエルの攻撃に対し、ガザでハマスが、人質に拷問していないことを祈るのみである。

日本含む国際社会からのイスラエル非難

一方で、イスラエルに対する国際社会からの批判は非常に激しくなっている。本日、国連安保理は、この件で、緊急会議を開催する。

日本の林官房長官は、11日(木)、イスラエルのカタールへの攻撃は、カタールの安全と主権、ひいてはこの地域の安定を脅かすものだ。日本はこれを強く非難する」との声明を出した。

www.arabnews.jp/article/japan/article_157769/

こうした中、ネタニヤフ首相は、11日、声明を発表した。

ネタニヤフ首相は、ハマス指導者たちは、10月7日の大虐殺を指揮した者たちだと強調し、9月11日が、アメリカの同時多発テロの日でもあることから、この時、アメリカがどう対処したのか、考えてほしいと問いかけた。

アメリカは、アフガニスタンでアルカイダを追い詰め、パキスタンでオサマ・ビン・ラディンを殺したが、国際社会はそれに反発はしなかったではないかと訴えた。

ネタニヤフ首相は、最後に、「カタールは今すぐ、ハマスを追放するか、裁判にかけるべきだと述べ、そうしないなら我々がそれをするのみだ」と強く宣言した。

これに対し、カタールは、「ハマスは、交渉で、アメリカとイスラエルが合意した事を、検討しようと集まっていた。

それを知っていながら、攻撃したということは、イスラエルが、人質解放と停戦の可能性をすべて破壊したということだ」と言い返した。

www.timesofisrael.com/netanyahu-tells-qatar-to-expel-hamas-chiefs-or-bring-them-to-justice-if-you-dont-we-will/

ハマスは交渉継続の意向と

カタールは、イスラエルを強く非難しつつも、アメリカの圧力もあり、仲介は継続すると表明している。

また。サウジアラビアのメディアによると、ハマスも交渉を続ける意思を表明しているとのこと。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/report-despite-strike-in-qatar-hamas-leadership-united-on-completing-ceasefire-talks/

石のひとりごと

ハマスは交渉を続けると言っているが、国際社会の後押しがある今、優位に立てると思っているのではないか。

国際社会は、イスラエルを最悪の国のように言っているが、よく考えれば、ネタニヤフ首相の言っていることは筋が通っていると思う。

まず、ハマスは国際テロ組織である。この戦争を終わらせるなら、ガザを支配するハマスが人質を全員解放し、非武装化すること。そしてカタールにいるハマス指導者たちを、カタールが差し出して裁判にかければいいだけの話である。

それを早くしていれば、イスラエルがカタールにいるハマスを攻撃せずにすんだということなのである。

しかし、世界は別の筋を通そうとしている。どういうわけか、最悪のテロ組織ハマスを存続させるだけでなく、その国家まで認めようとしている。パレスチナの国というが、今、パレスチナ人たちを支配しているのは、ハマスはじめ、あらゆるテロ組織なのである。

おかしいとしか言いようがないのだが、ここから見えてくることは、結局のところ、世界は、イスラエルの存在を受け入れたくないということではないかと思う。

それは、やはりイスラエルが、この全能の神がその証をするように選ばれていることの別の意味での証であると思う。罪に覆われた世界は、主を受け入れることができないからである。

イスラエルはいよいよ孤立に向かっている。こういう時だからこそ、主がイスラエルを通して、世界にその存在と栄光を表してくださることを期待する。

 

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。