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ドーハでの停戦・人質解放の交渉は、イスラエルと、仲介国アメリカ、エジプト、カタールの4カ国代表の間で、15日16日と2日間にわたって行われた。
ドーハ交渉:大筋で合意・来週カイロで詳細を交渉へ
仲介国4カ国は、今回の交渉で、イスラエルとハマスの間にある溝が、おおむね解消されたとの見解で合意したとして、来週中にカイロで、合意したプロセスを完了させる予定になったと発表した。
今回の交渉に、ハマスは同席していなかったが、エジプトとカタールの2国との会談は行っていたとのこと。
また、イスラエルの代表たちも、以前は交渉にはいっさい応じない様相であったネタニヤフ首相から、これまで以上に自由に交渉を進める権限を与えられていたといわれている。
以前より、前進する要素はあったと思われるが、はたしてどこまでイスラエルとハマスが歩み寄ったのかは、まだ明らかではない。当然ながら、停戦が開始される時期もまだ決まっていない。
今後、関係国の低階級者がドーハに残って、解放される人質のリストや、イスラエルが解放する囚人のリスト、その順番などを事務的な詳細を話し合う。
それを来週、代表者たちがカイロに再度集まるときに、確認、交渉して最終的なところを決めていくとのこと。今回合意したと言われているのは、いわば、方向性ぐらいの感じであったといえそうである。
なお、具体的なことでの合意は容易くないと思われる。最も大きな問題は、停戦中のことである。
イスラエルは、武装組織が復活することを防ぐとともに、避難民や民間人以外が、ガザ南部から北部へと行き来できないようにするシステムを要求。
それが完成するまでは、フィラデルフィ回廊(ガザとエジプト国境)に、イスラエル軍が駐留を続けることを条件に挙げている。ハマスが合意するとは考えにくい。
また、交渉に応じるような動きをしているイスラエルだが、地上では、ハマスへの激しい攻撃を継続しており、止める様子はない。
ハマスはイスラエルは本当に停戦を考えているとは考えにくい。この交渉は、単なる時間稼ぎだと言っているとのこと。
www.jpost.com/israel-hamas-war/article-815090
イスラエルとハマスが直面する現状からの圧力
しかし、イスラエルにもハマスにもかかっている圧力は、国際社会からだけでなく、国内事情からも相当強くなっている。
ネタニヤフ首相にとっては、人質の命がもうこれ以上もたないという現状がある。
また、もうかなりハマスを叩いたので、たとえば第一段階の6週間の間、ガザから軍を撤退させるという条件を受け入れたとしても、ハマスが再起するのに十分な時間はない。心配はないのではないかという考え方である。
ネタニヤフ首相が信頼する?トランプ次期大統領候補も、「今が“勝利”を決める時だ」と言っている。
一方、ハマスもガザ住民の人道状況は悲惨を通り越している。懸念されていたポリオを発病した人の報告もある。
バイデン大統領は、もし今回停戦に合意しないなら、ハマスは、ガザ市民に人道状況にどう答えるつもりなのかと言っている。
イランとヒズボラのイスラエル攻撃はどうなる?
バイデン大統領は、これまでで最も進展あったとし、イランはじめあらゆる組織は、この交渉を妨害するような動きはやめておくべきだと述べた。イランは、交渉が続いている限りは、イスラエルへの攻撃を控えると示唆している。
ヒズボラも、イスラエルを攻撃した場合、レバノンが崩壊するほどの被害を与えてしまうので、なかなか攻撃に踏み出せないのではないかと見られている。
イランのイスラエル攻撃を牽制する目的か、ドーハでの交渉が進行中だった16日、イギリスのラミー外相と、フランスのセジュルネ外相が、イスラエルを訪問。イスラエルのカッツ外相と会談した。
カッツ外相は、両外相に、万が一イランとの戦争になった場合、イスラエルに協力してほしいと伝えた。
イギリスとフランスは、4月にイランが、イスラエルに向けて300発のミサイルやドローンを発射した時に、迎撃に協力した国である。
こうした状況の中だが、ヒズボラは、相原図イスラエル攻撃の意欲を表明している。イスラエル軍も、ヒズボラ司令官と戦闘員の殺害を続けている。
イランはともかく、先にヒズボラとの戦闘は始まってしまうのではないかとの懸念が広がっている。