
ネタニヤフ首相が、ガザ全域を制覇すると軍事活動の拡大を発表した。本気でそうすると考えているとは思われるが、一方で、強力な姿勢を見せて、ハマスに歩み寄りを迫っている可能性も指摘されている。
実際ハマスは、これまでに執着してきた停戦・人質解放の条件を撤回するとエジプトに連絡してきたため、カタールのドーハでの交渉が再開されている。
しかし、もはやこれまでのような交渉ではない。イスラエルの代表、モサドのバルネア長官は、イスラエルは、人質全員解放、ハマスの武装解除、ガザの非武装化から譲歩することはないと明確に表明しての交渉であった。
結局、交渉が始まって2日目もまだ、両者の間には、ギャップがあると伝えられている。
アラブ諸国は、仮にハマスが、人質全員を解放したとしても、全面的な降伏を意味する武装解除に応じることはない、非現実的だと主張。
レバノンで行われている段階的なヒズボラの武装解除のように、アラブ諸国がガザを管理する中で、段階的にハマスの武装解除を進める案を出している。
しかし、アラブ諸国は、最終的にガザを支配するのは、パレスチナ自治政府としておいり、その先には、パレスチナ国家という目標を置いているので、イスラエルの合意を得られるとは考えにくい。
しかし一方で、このまま交渉が頓挫し、いよいよ武力で、ガザ全域を支配する場合は、ガザ市民100万人を移動させることになる。イスラエル軍は、新たに予備役兵10万人を徴兵しなければならないと推測されている。
強硬姿勢を示したことで、ハマスが交渉で折れたらよいが、折れない場合は、激しい戦闘となり、双方に多くの犠牲を出て、国内外からの非難、国際社会からの孤立という、より大きなリスクに直面する、非常に大きな賭けだとも言われている。
*レバノン政府のヒズボラ武装解除
イランからの支援がなくなって弱体化しているヒズボラに対し、レバノン政府は、ヒズボラの武装を違法と定め、その解除に取り組んでいるが、まだヒズボラからの反発が続いており、イスラエルも時々攻撃を余儀なくされている。
