日本でも報じられていたと思うが、トルコのダウトオール首相が退任することが、首相本人の記者会見で明らかとなった。
ダウトオール首相は、ヨーロッパへの難民流入を阻止することに成功し、これから7月までに、その見返りとして約束されていたトルコ人のビザなし渡航に向けた協議をすすめていたところだった。それだけに世界はびっくりぽんである。
記者会見において、ダウトオール首相は、「これは、自分の意志ではなく、状況からの判断」と主張。これからも大統領には忠誠をつくすことを強調した。しかし、この背後には、大統領との意見の不一致があったと伝えられている。
ダウトオール首相は、エルドアン大統領の権力集中には反対していたと言われる。今回の退陣については、最近、ヨーロッパとの関係改善で活躍し、力を持ち始めていたダウトオール首相を、大統領が排除したとの見方が濃厚だ。
ダウトオール首相が退陣すると、実質、トルコの指導は大統領が担う形ができあがったことになり、今後、エルドアン首相が強大な権力を発揮して行くと予想される。
トルコでは、エルドアン大統領になってから、イスラム化がすすみ、クルド人との関係が悪化して、アンカラやイスタンブールでのテロも続発した。国内では、エルドアン大統領を支持する人々と、これに懸念をもつ人々で、世論は大きく別れている。
シリア問題にとってトルコの役割が大きいだけに、トルコが今後、どんな国になっていくのか、今後の中東情勢にどんな影響が出てくるのか、注目されるところである。
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