トランプ氏・ハリス氏公開討論会:イスラエル関連の論議は2分のみ 2024.9.12

(COMBO) This combination of pictures created on September 10, 2024 shows former US President and Republican presidential candidate Donald Trump (L) and US Vice President and Democratic presidential candidate Kamala Harris participating in a presidential debate at the National Constitution Center in Philadelphia, Pennsylvania, on September 10, 2024. (Photo by SAUL LOEB / AFP)

トランプ氏とハリス氏のイスラエル問題の見方の違い

次期アメリカ大統領選挙に向けて、共和党トランプ氏と、民主党ハリス氏の公開討論会が行われた。CNNの討論会後の世論調査によると、トランプ氏支持が37%、ハリス氏支持が63%と、ハリス氏優勢となっていた。

またこの後、インスタで3億人近いフォロワーを持つ、アメリカ人歌手テイラー・スウィフトさんが、正式にハリス氏支持を表明したことが世界の注目をあびた。

総じて、ハリス氏が優勢であるようだが、まだひっくりかえる可能性は十分にある。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGN115II0R10C24A9000000/

討論では、当然ではあるが、国内問題に多くの時間が割かれて、イスラエル関連についての論議は、90分中、約2分だった。

ハリス氏は、今のガザでの戦闘の始まりは、10月7日にハマスがイスラエルに侵入して、1000人以上を殺していったことがきっかけであったとして、イスラエルの防衛権を支持すると明言した。

また、すぐにも人質を解放して、停戦に持ち込まなければならないとした。しかし、ここで、パレスチナ人の国を立ち上げて二国家共存が不可欠だとも述べた。

これに対し、トランプ氏は、ハリス氏は、イスラエルを憎んでいると述べ、「ハリス氏が大統領になったら、イスラエルは消滅する」と述べた。しかし、その背景についての説明や言及はなかった。

イスラエルと在米ユダヤ人はどちらを支持するか

イスラエル人たちが、どちらを期待しているのかといえば、意見は分かれている。右派たちの間では、トランプ氏支持が多いとは思われるが、いろいろ問題もあるので、両手を上げてトランプ支持という人には、あまり聞いたことがない。

一方、左派系の人々の間では、バイデン大統領が、それなりの軍事支援をしてくれたことや、個人的にはイスラエルの存在を受け入れていることもその言動からも認めるとする人が少なくない。

いずれにしても、今はそれどころではないので、イスラエル国内で、この話題はもはや、あまりメディアには出ていない。

アメリカ在住のユダヤ人ではどうだろうか。アメリカ民主評議会の依頼で行われた、在米ユダヤ人の間での世論調査によると、ハリス氏が支持が72%と、トランプ氏の25%を大きく上回っていた。

www.haaretz.com/us-news/2024-09-09/ty-article/.premium/u-s-jews-overwhelmingly-prefer-kamala-harris-to-donald-trump-new-poll-finds/00000191-d779-d653-a993-d7ff4a2b0000

www.timesofisrael.com/in-debate-harris-backs-israels-right-to-self-defense-trump-says-she-hates-israel/

石のひとりごと

表面的に見れば、ハリス氏が、イスラエルの側に立っているように見えるかもしれないが、しかし、2国家共存案に基づくパレスチナ国家設立案は、イスラエルからすると、何を今更という感じである。

パレスチナ国家設立についてはもう、イスラエルも合意し、1990年代に、すでにやってみた結果、逆にテロが増え、何度も大規模な戦闘になり、今のような大混乱になったのである。

だいたいのところ、パレスチナ人(テロ組織)と、その背後にいるイランは基本的にイスラエルの消滅しか考えていない。二国家共存を考えていないのは、イスラエルだけでなく、パレスチナ側、その背後にいるイランもというのが現状である。

現実味のない将来の話をしているように聞いた人もいるかもしれないが、上記のような現状を知っていれば、トランプ氏が言ったことも理解できるのである。

とはいえ、トランプ氏支持とも言いづらい・・

主権は全て主の手にある。この重要な大統領選挙で、アメリカのみならず、これからの世界の方向が定まっていくだろう。日本も今また、新しい首相が誕生する時となっている。

新しい時代に向けて、どう祈り、備えるのか。ますます聖霊の導きに頼る日々になりそうである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。