トランプ政権が発足して2週間。これまでの間に実に様々なことがあったが、世界情勢は動いており、トランプ政権も不動とはいかなくなりつつある。今後徐々に外交姿勢もあきらかになってくるとみられる。
特に、今のトランプ政権が直面するのは、オバマ前大統領が、あまりにも紳士的すぎたせいか、挑発的になってきているロシア、イラン、中国、北朝鮮の脅威である。
1)どうするロシアとの関係?:緊迫するウクライナ情勢
トランプ大統領は、大統領選挙運動中から、ロシアとの関係改善をめざすとの姿勢を明らかにしていた。
これを受けて、ロシアは、アメリカはもはや驚異ではないと判断したのか、昨年12月、シリアで膠着していたアレッポでの戦いに猛烈に乗り出し、シリア政府軍に奪回させるという流れになっていた。
今度は膠着しているウクライナ情勢である。2月に入ってから東ウクライナで、ロシア軍とウクライナ軍が激しい交戦状態に陥り、これまでに市民を含む15人以上の死者が発生している。
ウクライナ紛争は、東ウクライナを併合しようとするロシアと、それをわたすまいとするウクライナ(欧米より政府)との紛争である。いわば東西対立の最前線といえる。
今回、紛争が再燃したことについて、ロシアは、ウクライナ側から仕掛けられたと主張し、ウクライナは、ロシアが先に攻撃したと主張している。
今回、両者が交戦状態になったのは、トランプ大統領が、プーチン大統領と電話で話した翌日であったことから、ロシアがアメリカの力量を試しているとの見方もある。トランプ大統領への初の外交テストだとして注目されている。
www.bbc.com/news/world-europe-38850375
また、ウクライナ問題については、NATOの問題でもあり、アメリカとヨーロッパが今後どう付き合っていくのかの指針にも関わってくる問題といえる。
2)どうするイランとの関係?:イランが大陸弾道ミサイル実験
トランプ大統領の入国禁止に指定された中東、アフリカ7カ国にイランが入っていることで、すでにアメリカとイランの関係にはひびが入り始めているところである。
そんな中、イランが、先週末、長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。イランもこれを認めたが、安保理条約には違反しないと主張している。
これに対し、アメリカは、「全く受け入れられない」とのコメントを発表。アメリカの安全保障担当大統領補佐官マイケル・フリン氏が、この件に関する記者会見を行い、アメリカは公式にイランに警告したことを明らかにした。*この後、経済制裁発動とのニュースが入っている。
フリン氏は、イランが、核兵器開発以外にも、武器輸出、テロ支援などにも関わっているとし、イエメンで、イランの支援を受けてサウジアラビアと戦う過激派シーア派組織フーシ派が、サウジの空母を爆撃したことも例としてあげた。
フリン氏は、イランが核兵器開発以外にも、世界の平和を脅かす行為があることから、先に世界6大国とイランが結んだ核兵器開発に関する合意とそれに続く経済封鎖緩和に弱点があることを認めるとした。
フリン氏は、イランは、世界6大国との合意で、本来は感謝すべきところ、逆に強気になっていると語った。
www.bbc.com/news/world-us-canada-38832407
3)どうする中国・北朝鮮との関係?:マティス国防長官の早期アジア訪問
トランプ大統領は、中国に対して、厳しい発言を行っている。
政権発足後、マティス米国防長官が、最初に訪問した先が、韓国と日本であった。挑戦的な行為が続く中国、北朝鮮に対し、アメリカ、韓国、日本が一致していることを強調した形だ。
韓国で、マティス長官は、「もし北朝鮮が、核兵器を使うなら、圧倒的な反撃を受ける。」と北朝鮮に釘を刺した。
アメリカは北朝鮮の核兵器に備え、韓国にTHAADという高度な迎撃ミサイルシステムを配置している。しかし、このシステムは、中国、ロシアとの戦いにも備えうることから、中国、ロシアは、アメリカに抗議しているという。
www.bbc.com/news/world-asia-38850995
日本では、安倍首相との会談において、日米安全保障条約第5条の重要性を確認し、アメリカと日本の友好、安保関係を確認。東シナ海や尖閣諸島で挑発的な行為を続ける中国を牽制した。
トランプ大統領は、駐日米軍の駐留経費は日本が払うべきと主張し、払わなければ米軍は撤退させる言い、地域の安全保障に懸念が持たれていた。しかし、マティス長官によれば、経費負担は日本に求めない方向のようである。
www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H3O_T00C17A2MM8000/?dg=1&nf=1