10月13日(月)朝9時半、ちょうど最初の人質が解放されたころ、トランプ大統領が、ベン・グリオン空港に到着。エルサレムのクネセット(国会)に向かった。

国会のゲストブックには、「私にとっての光栄です。素晴らしい始まりの時です」と署名した。
計画では、その後、ネタニヤフ首相と共に、これまでに解放された人質や、人質家族たちと面会。彼らからの訴えに耳を傾けた。
当初は、まさにこの日に解放された人質と、シェバ病院で面会する予定だったが、時間が合わなかったためである。

人質家族からは、「生存する人質だけでなく、遺体の返還も忘れないでほしい。それができるのはあなただけだ」との訴えが出ると、トランプ大統領は、今まさにそのことのために働いていると返事した。
今日人質が帰ってきたが、どうか停戦を完成してほしいとの訴えが出た一方、ガザでハマスが生き延びている限り、私たちに安全は保証されないとして、私たちは戦い続けるとの訴えも続いた。
また息子を拉致したテロリストは、UNRWA職員だったとして、この組織を排除してほしいとの訴えもあった。
ハマスの襲撃で150もの家屋を焼失されたキブツ・べエリの男性は、キブツを再建すると述べ、私たちにとっては、イスラエルだけが国なので、守り続けないといけないということを覚えていてほしいと訴えた。
その後、国会で、ヒーローとして、ファンファーレと長い拍手で迎えられたトランプ大統領。オハナ国会議長は、トランプ大統領について、「一人のアメリカ大統領というだけでなく、ユダヤ人の歴史に名を残す巨人、クロス王しか比べようがない人物」と別格の称賛を述べた。
トランプ大統領は、ネタニヤフ首相に続いて、1時間を超える演説を行った。かなりフランクな英語で、予想外に長時間だったが、まとめると以下の通りである。
トランプ大統領は、戦争が終るだけでなく、恐怖と死の時代が終わり、信仰と希望と神の時代の始まりだと述べ、「新しい中東の歴史的な夜明け」だと宣言した。
また、トランプ大統領は、イスラエルは勝利したと宣言。戦いを振り返れば、武力、力によって、イスラエルは全てを成し遂げた。力によって平和に到達したと強調した。今は、その勝利を戦闘ではなく、平和へと結ぶ時代だと語った。
トランプ大統領は、今日、5週間前に比べて、イスラエルに好意を持つ国ははるかに多くなっていると述べた。
トランプ大統領が意味していることは、イスラエルが、ドーハのハマス指導者の暗殺未遂がきっかけで、ハマスを含む全てが動いて今の停戦に持ち込むことができたということである。また、この時まで、イスラエルは、国際社会で孤立の一途であったのに、今は、逆転したともいえる状態にある。
トランプ大統領は、ネタニヤフ首相とその愛国心を称賛し、ネタニヤフ首相がいたから今のこの勝利があったと感謝を表明した。「正直なところ、扱いにくい、難しい人だが、それこそが彼の偉大なところなのだ」と語った。
またネタニヤフ首相が、自身の汚職問題で、裁判に出ていることについて、今少しは、彼に恩赦してもいいのではないかと、国会の前で冗談混じりに述べた。
トランプ大統領は、ガザの再建を約束し、パレスチナ人たちは、イスラエルを滅ぼすことではなく、彼ら自身の民を立ち上げることを考えるべきだと語った。
またイランについても述べ、この6月にイランの3つの核施設を破壊したが、我々はただ平和が欲しいだけなのだと語った。そうして、イスラエルとイランの間に和平協定があったらいいと思わないかと投げかけた。
なお、トランプ大統領の演説の間に、アラブ人議員のアイマン・オデ氏が、「パレスチナ国家承認」と書いたものを掲げて、強制退場させられるという経過があった。
トランプ大統領は、この後すぐ、エジプト、シナイ半島のシャルム・エル・シェイクに向かって飛び立っていった。弾丸のような訪問であった。
