トランプ大統領どう決断する?中東で準備する米軍:明日米仏独外相がイラン外相と交渉 2025.6.19

Left to right: France's President Emmanuel Macron, Britain's Prime Minister Keir Starmer and Germany's Chancellor Friedrich Merz take part in a meeting during the European Political Community (EPC) summit, in Tirana, Albania, on May 16, 2025. (Photo by Ludovic MARIN / AFP)

トランプ大統領がイラン攻撃参戦準備か?

on June 16, 2025. (Ludovic MARIN / POOL / AFP)

トランプ大統領は、イランに無条件降伏と核開発の停止を求めたが、イランがこれに応じる様子は全くない。

逆にアメリカが攻撃してきたら、アメリカ軍は悲惨なことになると反撃を言い返した。

www.ynetnews.com/article/hkjhxixvxg#autoplay

トランプ大統領は、イランへの攻撃準備を指示したとも言われているが、まだイランの返事次第とも言っており、いつ、どのように攻撃するのか、はたまた攻撃しないのか、わからない言い方を続けている。

しかし、今日、ベエルシェバの病院が標的になり、負傷者も出ていることから、いよいよトランプ大統領が動くかもしれない。アメリカによる決定的な攻撃が遅くなればなるほど、イスラエル側に被害が出る可能性が出てくるからである。

わかりにくいトランプ大統領の言い方とは裏腹に、アメリカ軍は、イランへの攻撃に備える動きをしている。

焦点となっているファルドー核施設への攻撃に必要とされる、バンカーバスターと、それを乗せるステルス爆撃機B2を、スタンバイさせた他、空母3隻を近海に配備させたとのこと(移動中?)。

日経新聞によると、空母1隻には兵士5000人がおり、搭載している戦闘機は、FA18など60機以上とのこと。また、巡航ミサイル“トマホーク”を発射できるイージス艦、原子力潜水艦もともなっており、小規模国家なみの戦力になっているという。

現在中東にいる米軍は、4万人。空母3隻は、アメリカの軍事力全体の30%近くになるとのこと。ヘグセスコメ国防長官は18日(水)に、大統領の選択に備え、準備が進んでいると言っていた。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18E8G0Y5A610C2000000/

しかし、もし本当にアメリカが参戦した場合、戦況は一気に変わるとみられている。これは、トランプ大統領がまだ、イランに交渉に応じるようにとの脅迫ともとれるわけである。

www.nytimes.com/2025/06/18/us/politics/us-bomb-iran-risks.html

まだ続く世界での交渉への試み

トランプ大統領の呼びかけを断ったイラン。ロシアのプーチン大統領が、仲介を申し入れていたが、トランプ大統領はこれを断った。

こうした中、イギリス、フランス、ドイツが、イランに対し、外相級の核交渉を申し出た。イランはこれに応じるし、明日20日(金)に、ジュネーブで交渉が行われる。

イランが核開発を平和利用に限ると言う確約を取れるかどうかの交渉である。アメリカも連絡を受けているとのこと。

www.jiji.com/jc/article?k=2025061900468&g=int

3国は、イスラエルのガザ政策には厳しいが、イラン問題については、今のところ、イスラエル側に立っており、イランの核開発違反を批判している。アメリカとも協力しているようである。

しかし、3国の要請に、イランが応じるとは思えず、逆に、欧米への反発につながるだけではと懸念される。アメリカに、交渉を断られたロシアの動きも気になるところである。

アメリカのイラン攻撃は、この交渉が終わってからの週末になるかとの予想が出ている。

この戦いの本質とは:中東と世界のために手を汚して戦っているイスラエル

イスラエルのイラン攻撃は、実際には、中東、世界の問題を、先頭を切って対処しているようなものだと、イスラエルは主張している。

イランが核兵器を持てば、まずはシーア派と対峙する、サウジアラビアなど湾岸スンニ派諸国にとっても危機になる。核兵器はどんどん拡大するだろう。イランが核保有国になることは、核戦争への始まりを意味するのである。

それはまた、欧米諸国と、ロシア、中国の対立にも関わってくる。それは、ガザ問題ではイスラエルを批判する欧州諸国がこの問題では、イスラエルと同じ所に立っていることからも考えられるところである。

イスラエルは今、いかに世界に嫌われ、批判されてもイランへの攻撃をやり遂げようとしている。それはまずは、自国の存在を守るためだが、世界を守るためでもあるということである。

こうした様子から、ドイツのメルツ首相は、イスラエルは世界のために、「汚れた仕事をしてくれている」と語った。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/germanys-merz-says-israel-is-doing-the-dirty-work-for-all-of-us-by-countering-iran/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。