トランプ大統領が決断は2週間以内とイラン攻撃先送りを発表:ネタニヤフ首相は米支援なしでも戦闘継続と 2025.6.20

US President Donald Trump meets with members of the Juventus soccer club in the Oval Office of the White House in Washington, DC, June 18, 2025. (AP/Alex Brandon)

トランプ大統領が参戦決断は2週間以内にと発表

6月19日(木)にイスラエルで、ベエルシェバと、テルアビブ近郊で、イランの弾道ミサイルの直撃を受け

る中、トランプ大統領は、イラン攻撃に参戦するかどうかは、2週間以内に決めると表明した。

イランとの交渉の余地があるとの見方によるもので、アメリカがすぐに、イスラエルの要請に応じてバンカーバスターを派遣する可能性も遠のいた形である。

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AFP

ロイター通信によると、アメリカは、イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く中でも、ウィトコフ特使と、イランのアラグチ外相との電話による交渉は続けていたという。

電話での交渉が行われていたことは、イランも認めている。

また国際社会が、次々にイランとの交渉を始めており、イランもそれに応じる様子である。トランプ大統領は、イランが核保有国になることは阻止するととからはブレていないが、それをできるだけ外交で達成させたいと考えている。

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それには、アメリカの事情もある。トランプ大統領の有力な支持者であるキリスト教福音派勢力は、イスラエルへの支援をするべきであり、バンカーバスターの派遣を求めている。

しかし、それ例外の多くの国民は、中東への関与に反対している。確かに、もしアメリカが参戦したら、世界戦争にまで発展していく可能性も出てくる。そう簡単に手はだせないだろう。

イスラエルは、この状況について、これはアメリカの事情で決まることだとしており、不満は出していない。

イスラエルの目標は変わらず:攻撃は続く

アメリカの参戦は遠のいた形だが、イスラエルはイランの核兵器開発能力と、ミサイル能力を無力化するという目標に向けての戦闘は継続するだけである。トランプ大統領もそれは止めようとはしていない。

19日(木)に、ベエルシェバと、バットヤムへのミサイルの被害を受けたイスラエルは、本日、20日(金)にも戦闘機60機が発進。ファルドゥとテヘランを攻撃中である。

Israeli Air Force (Photo: Israeli Air Force)

戦争の最中にあって、2週間は短い期間ではない。その間にも、イスラエルは、アメリカなしでのイランへの攻撃を強化する。

2週間もあれば、イランの核能力、ミサイル能力を、かなり削ぐとともに、もしかしたら、ハメネイ師の暗殺も成し遂げるかもしれない。

アメリカは、参戦の準備はしているので、要は、今の時点で直接参戦はしないが、背後で見守りつつ、イランと交渉を続け、また見守る。

万が一、ホルムズ海峡を封鎖したり、交渉だけでは、どうにもならないと判断したら、参戦する用意はあるということである。

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ネタニヤフ首相:イスラエルはアメリカなしでファルドゥを破壊できる

Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu visits Soroka Medical Center in Beersheba on June 19, 2025. (Marc Israel Sellem/POOL)

ネタニヤフ首相は、6月19日(木)、国内テレビ局カンのヘブライ語でのインタビューに応じ、イスラエルのイランへの攻撃が、予定よりも早く、順調に進んでいると述べた。

これまでにイランの弾道ミサイルの半分近くを無力化し、鍵となる指導者たちを殺害したと語った。

イランからのミサイルについては、今まだイランが何発持っているかが問題ではなく、発射システムがどのぐらい残っているかが問題であるとし、すでにその半分近くは破壊した語った。

懸念として上がっているアロー迎撃ミサイルの不足については、アメリカが補給してくれていると語った。

イランの核施設への破壊攻撃いついても言及。すでにアラドの原子力施設を攻撃している。地上施設だけでなく、稼働不可能にしたもようでる。ファルドゥについても、アメリカの協力なしでも、イスラエルは破壊できると語った。

ハメネイ師への暗殺については、直接的には語らなかったが、政権に属するあらゆるものや部隊、IRGC、ビルジと呼ばれる治安維持のボランティア部隊など政権を象徴するものを破壊していくと語った。

ネタニヤフ首相は、今回イランへの攻撃に踏み切ったのは、ヒズボラとハマスが、弱体化していることをあげた。また、アメリカのゴーサインを待っていたわけではないと強調。イスラエルの3500年に上る歴史は、常にイスラエルが決めてきた。今もそうだと強調した。

しかし、そのために、イスラエルは支払わなければならないことが出てくることはわかっていた。貴重な市民を失うことには大きな痛みが伴う。しかし他に選択肢がないなら、どれだけ犠牲を伴うかわからなくても、やるしかないと語った。

www.timesofisrael.com/pm-israel-will-hit-all-nuclear-facilities-has-destroyed-half-of-irans-launchers/

石のひとりごと:イスラエルは自立した国

イスラエルで学んだ大きなポイントは、自立であった。すべて自分のことは、自分にかかってくる。被害が来たときに、それが誰かの失敗のせいであっても、被害を被るのは、結局自分だということである。

被害をこうむったり、助けてくれない人を恨んだりしても、意味はない。しかし、同時に、人が当てにならないと考えるとか、人を信頼しないということではない。相手の立場も理解する目を持つということである。その上で、さてどうするかを考える。

今回、アメリカは、すぐには動かないことになった。アメリカにはアメリカの事情があると理解している。少なくとも、トランプ大統領は、イスラエルのイラン攻撃を妨害せず、いざの時の準備もしている。

しかし、実質的に参戦はしない。今、イラン攻撃そのものを助けることはない。

国際社会はこれからどう出てくるだろうか。日本の報道は、相変わらずイスラエル批判に傾いている。

最終的に、イスラエルは、その神に頼るしかなくなるのだろう。しかし、実はそれこそが、彼らの強さなのである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。