9月7日(日)、イスラエルの有力紙はそろって、トランプ大統領が「ガザの交渉はまもなく合意に至る」と表明したことをトップに上げていた。
トランプ大統領がSNSにアップした内容によると、アメリカは、ハマスに終戦への最後通告を出した。ここでは、具体的な条件や内容かは明らかにしていなかったが、その後、チャンネル12がそのおおまかな内容を報じた。
それによると、ハマスは停戦の初日に、人質48人を全員解放し、その後の話し合いで本格的な終戦に持ち込むとしている。

この構想は、ウィトコフ特使が先週、仲介国カタールの関係者とも話し合っていたとみられている。
しかし、Times of Israelによると、これに対し、イスラエルは、終身刑パレスチナ人テロリスト(殺人罪など)含む数千人を釈放することになっている。ガザ市への侵攻は中止し、その周囲に留まることも含まれているという。
ハマスは交渉のテーブルに戻る用意があると表明。イスラエルは検討すると返事していると報じられている。
石のひとりごと
ネタニヤフ首相は、先月、停戦の条件として5つの条件を出していた。
①人質全員解放、②ハマス武装解除、③ガザ地区非過激化、④イスラエル軍によるガザの治安維持、⑤ハマスでもパレスチナ自治政府でもない文民政府による政府の樹立。
これ以外は認めないとして、ガザ全域制覇に向けて、今動いているところである。
しかし、国内からは、戦争反対、人質交渉に応じることを要求する膨大なデモが続いており、イスラエル軍からも、ガザ市攻撃に反対する声が続いている。
今、人質を全員解放するとハマスが言っている以上、これを再び一蹴し、万が一にも人質が殺されることになれば、国内でのネタニヤフ政権への反発は内戦規模にもなりかねないだろう。
またガザ市での戦闘による膨大な犠牲からも、国際社会における孤立は、深刻化する。リスクはあまりにも大きい。
この状況について、Times of Israelのコメンテイター、ヨシ・クレイン・ハレヴィ氏は、「ガザにおける道徳的帰路」という分析を出していた。
ハレヴィ氏はまず、イスラエルが受けたハマスによる残虐すぎる被害とともに、ハマスがどんな犯罪も実行するテロ組織であるので、これを殲滅しよとするイスラエルの動きは十分理解できるとしている。
また、今世界からイスラエルの方が、ジェノサイドだと非難されることの不条理もまた理解できるとしている。
しかし、同時に、交渉のタイミングを逃してきたことや、ガザの膨大な破壊、一時的でも食糧の配給を止めたこと。
その後、効果的な食糧配布に成功したとは言えない様相からも、人道問題に発展してしまい、国際社会の人道的批判を積み上げることになった。ハマスが今、それを武器として使っていると指摘している。
ハマスに勝っても、イスラエルが負けになる。イスラエルは今、史上、最も複雑なジレンマに直面していると指摘している。(以下の記事より)
帰ってきてください。主よ。いつまでこのようなのですか。あなたのしもべらをあわれんでください。(詩篇90:13)
