トランプ大統領が、ネタニヤフ首相やアッバス議長とどんな話をしたのかの詳細は、まだほとんど明らかにされていない。しかし、その実質はじわじわとメディアにもれ、新しい動きとなって出てきつつある。
1)パレスチナ囚人のハンスト終了
パレスチナ人が4月17日から続けていたハンストだが、トランプ大統領訪問の直後に、イスラエルが囚人と合意に至り、27日、開始から40日めにハンストは終了となった。しかし、その日からラマダンが始まっているので、再び断食になる・・・
ハアレツ紙によると、ハンストを始めたのは1578人で、最終まで続けたのは834人。医療的処置を受けた18人も、刑務所に戻ったという。
地元メディアが伝えているところによると、パレスチナ自治政府のアッバス議長はベツレヘムでトランプ大統領と会談した際に、囚人のハンストについて、介入するよう願い出たもようである。
イスラエル刑務所は、刑務所の環境は国際法上問題はないとして、囚人との交渉はしないと言っていた。しかし、最終的には、囚人の家族との面会回数を増やすなどで”合意”したと伝えられている。
www.haaretz.com/middle-east-news/palestinians/.premium-1.792174
しかし、今回のハンストを指導した大物ファタハ指導者マルワン・バルグーティ(イスラエル人5人殺害で終身刑5回)は、「ハンストは終わったのではなく、中断しただけだ。イスラエルが約束を守らないならいつでも再開する。」と言っている。
イスラエル公共治安相のギラッド・エルダン氏は、「イスラエルにはなんの義務もない。」としてこの訴えを一蹴している。なお、このバルグーティは、断食中のはずが、一人独房でスナックを食べているところを盗撮され、話題となった人物。
2)正式決定:米大使館はテルアビブに残留
トランプ大統領は、サウジアラビアでのイスラム教国指導者らとの会談、アッバス議長との会談などを通して、アメリカ大使館のエルサレムへの移動は、難しいことも理解したようである。
公約に反して、少なくとも6ヶ月、アメリカ大使館はテルアビブに残留するという大統領令にサインした。
アメリカでは、1995年以来、米大使館をエルサレムに移動させるということが議会で決定している。しかし、実際には不可能であるため、その後のすべての大統領が、これを延期するという署名をし続けてきた。
トランプ大統領もそれに続いたということである。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230433
3)カフロン財務相がラマラでハムダラ首相と面会
水曜、イスラエルのカフロン財務相(中道右派)が、ラマラで、パレスチナ自治政府のハムダラ首相と面会した。イスラエルの閣僚がラマラに入るのは異例。
この時の交渉で、カフロン財務相は、西岸地区とヨルダンを結ぶアレンビー橋の検問所を24時間開放すること、また西岸地区のC地区(イスラエル支配域)に住むパレスチナ人に家屋増設の許可を出すなどの条件を提示したもようである。
詳細はまだ明らかになっていないが、トランプ大統領の圧力とみられる。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4970049,00.html
これに先立ち、アメリカの調査団が、西岸地区サマリア地区北部を訪問したことから、その地域のC地区(イスラエル管轄)をB地区(治安のみイスラエル)にすることを交換条件に出してくるのではないかとも言われていた。当然、イスラエルからは反発がある。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230237
トランプ大統領がアッバス議長にとなりつけたという話題もニュースになった。それによると、トランプ大統領は、ベツレヘムで、パレスチナ自治政府がテロを扇動しているとみられるビデオと、アッバス議長自身が、扇動しているとみられるビデオを見せて、「あなたは、ワシントンでの会談で、(平和教育をしている)と嘘を言った。」とどなりつけたという。
これはのちにパレスチナ自治政府もみとめている。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/230412
<石のひとりごと>
トランプ大統領がどこまでイスラエル支持派なのかどうか、イスラエルを発つ前の愛に溢れた言葉だけではどうもわからないところである。大きな体と大きな経済力で、ジャイアンぶりを発揮して、皆がふりまわされている感じである。。。