テルアビブ自爆テロ失敗?イスラエル人1人負傷:ハマスとイスラム聖戦が今後の自爆テロを予告 2024.8.20

Forces at the scene of the explosion in Tel Aviv. August 18, 2024. (credit: Via Maariv)

テルアビブで自爆テロ失敗?イスラエル人男性1人負傷

18日午後8時ごろ、テルアビブ南部で、バックパックを背負って歩いていた男が突然爆発し、当然本人は死亡。

近くを、スクーターで通りかかったイスラエル人男性レオニードさん(33)が、中等度の負傷を負った。かなり大きな爆発だったので、この程度の傷で助かったのは奇跡と言われている。

事件当時、治安部隊は、何かがあるとの情報があったとようで、市内での捜査を進めていたという。その中で、爆発が発生したとのこと。

調査の結果、警察とシンベトは、爆発した男は、西岸地区ナブルス在住の50歳代?パレスチナ人で、爆発は、犯罪に関わるものではなく、意図的なテロ攻撃だったと共同で発表した。

おそらく、ショッピングセンターなど、もっと人がいるところで爆発するつもりが、目標地点に着く前に爆発してしまったのではないかとみている。実際、爆発の時、この近くにあるシナゴーグでは80人ほどが祈りに来ていたという。

シンベトと警察がテロとの見解を発表した数時間後、ハマスとイスラム聖戦が、犯行を認めるとともに、今後、イスラエルのハマスへの攻撃に対し、このような自爆テロが続くと脅迫した。

自爆テロは、2000年代初頭の第二次インティファーダの時にハマスが使ったテロ方法で、1000人近いイスラエル市民が犠牲になった。

自爆テロ犯の多くは、西岸地区から侵入していたことから、シャロン首相が、西岸地区周囲に防護壁を建設したところ、その波が収まったという経歴がある。

www.timesofisrael.com/hamas-claims-tel-aviv-blast-as-attempted-suicide-bombing-vows-to-carry-out-more/

www.ynetnews.com/article/s1wpb00goa#autoplay

西岸地区で斧によるテロで警備員男性死亡

同じ18日、西岸地区入植地ケドミムに近いバル・オン工場地帯での警備員として立っていたギドン・ペリさん(38)が、パレスチナ人に斧で頭を殴られて死亡した。

テロリストは、ギドンさんの銃を奪い、その場から車で逃亡した。イスラエル軍が、捜索中である。

犠牲となったギドンさんは、子供3人の父親だった。

www.timesofisrael.com/israeli-civilian-security-guard-critically-wounded-in-west-bank-hammer-attack/

石のひとりごと:西岸地区で膨れ上がる憎しみのパワー

10月7日以来、イスラエル軍は、西岸地区にいるテロリストと目される4850人(うち1960人はハマス)を逮捕している。

それに伴う戦闘で、死亡したパレスチナ人は630人にのぼっている。一方で、この期間にパレスチナ人によるテロで死亡したイスラエル人は27人である。

また今問題になっているのは、西岸地区入植地の一部の過激右派ユダヤ教徒のパレスチナ人への暴力である。

グループは暴徒となって、パレスチナ人の村へ殴り込み、家屋や車に放火する事件が発生している。先週、パレスチナ人1人がこの中で死亡した。パレスチナ人たちは、激しい報復を叫んでいる。

西岸地区では恐ろしいばかりの憎しみの連鎖となっている。自爆テロが今回、負傷者が1人という、“失敗”に終わったことは、まったくの不幸中のさいわいだったかもしれない。

アメリカは今、ブリンケン国務長官を派遣し、ハマスとイスラエルの間に、ある程度の信頼を要する最後の「合意」を得ようと必死になっているが、現状はこれである。なんらかの合意が得られるとはどうにも期待しにくいとろころである。

今後、自爆テロを担うかもしれないパレスチナ人たちを思いつつ、恐れと共にその目が開かれるように。すべて失敗に終わるようにとりなしを。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。