家庭用炭酸水製造機で知られる会社ソーダストリームは、昨年10月まで主要工場を西岸地区マアレイ・アドミム郊外の産業パークに置き、ユダヤ人とともにパレスチナ人600人を雇用していたイスラエル人の会社である。
工場が西岸地区のパレスチナ人地区内にあったため、BDS(イスラエルのボイコット運動)は、この会社とそのCEOダニエル・バーンバウム氏に対し、工場を移転するよう、激しく訴えて来た。
そのソーダストリームの西岸地区工場は、昨年10月に閉鎖となり、今年からネゲブの産業パークへ移転した。CEOは、移転は、BDSに屈したわけではなく、工場を拡大するためだったと説明している。しかし、BDSは、これを「勝利」だと言った。
BDSは、勝利だといったが、実際に何がおこっているのかといえば、ソーダストリームは、BDSのおかげで逆に宣伝となり、利益が上がって工場を拡大。逆に 工場の移転によって、BDSが支援しているはずのパレスチナ人労働者500人とその家族は収入源を失ったということである。
パレスチナ人500人が新工場で働く事ができなくなったのは、イスラエル領内での労働許可をもらうことができなかったからである。移転に際し、労働許可がもらえたのは、家族のある特定の役職の74人だけだった。
その74人の労働許可も、2月末で期限切れとなり、イスラエル政府はついに彼らの労働許可を延長しなかった。ソーダストリームは先に解雇した500人に加えて、パレスチナ人74人も苦渋の中で解雇した。
Ynetは、ソーダストリームの新工場の職員らが、2月29日、涙で74人を送り出す様子を伝えている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4772560,00.html
CEOのバーンバウム氏は、これまで政府に対し、パレスチナ人74人の労働許可延長を懇願してきたという。その願いは聞き届けられなかった。これではBDSを援助しているようなものだと怒りをぶつけている。
政府は、「ネゲブの産業パークは、貧しく犯罪の温床になっているベドウインたちの生活を改善するためであり、まずはイスラエル市民の失業率を改善することが先決だ。」と説明している。
また、最近では、労働許可を得てイスラエル領内で働くパレスチナ人が、テロリストになるケースが出て来ているので、政府としてもパレスチナ人が国内に入る事に及び腰になっているのだろう。
解雇された600人のパレスチナ人とその家族は、今頃どうしているのだろうか。生活できるのだろうか。BDSと一部のパレスチナ人によるテロのしわ寄せは結局、一般のパレスチナ人労働者に来たということである。