スリホット初日:嘆きの壁は人でいっぱい 2025.8.26

Israelis participate in selichot and call to bring back the 50 hostages held in Gaza at the Western Wall, August 25, 2025. (credit: MARC ISRAEL SELLEM/THE JERUSALEM POST)

8月25日日没後、エルサレムの嘆きの壁では、ユダヤ教のスリホットの初日の祈りが捧げられた。嘆きの壁は文字通り人で埋め尽くされていた。

スリホットとは、ユダヤ教の秋の例祭シーズンを前に、自分の歩みを振り返り、必要な人には謝罪して関係を回復させながら、神に対しても罪を告白して赦しをこう祈りのことである。

個人がそれぞれの生活でその祈りを捧げると共に、嘆きの壁では、ユダヤ人たちが、定期的に集まって、共に神の前に出て祈る。

今年は、8月25日に始まり、10月1日のヨム・キプール(大贖罪日)前夜までの間、毎週、木、土を中心に、行われる。

今年のスリホット初日には、元人質のキース・シーゲルさん、エレーナ・トルファノフさんが参加した。

戻ってきた人質たちの中には、囚われていた間に、神に立ち返ったと言っている人が少なくない。人間は、自分でどうにもできなくなった時に、ようやく神を発見するのかもしれない。

今年のスリホットでは、特にまだガザに残されている人質50人を覚える祈りも捧げられっている。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/former-hostages-join-thousands-for-pre-high-holiday-prayers-at-western-wall/

以下は、今年の嘆きの壁のスリホットへの参加の呼びかけのクリップと、その中で出て来るプロップの訳。

“今年はいつもより多くの人が、人生を置いて嘆きの壁に来るように。
互いにつながり、一つとなって、希望と慰めを受けとろう。
期待しながら人質たちと兵士たちが帰って来るように祈ろう。
負傷者の癒しのためにも祈ろう。

石のひとりごと

イスラエルは今、史上最も長い戦争を経験している。最強だったはずのイスラエル軍が、ハマスというテロ組織を相手に、2年経ってもまだ人質を取り返せないでいる。プライドも大きく崩された。

世界からは嫌われ孤立が深まっている。被害者なのに理解してもらえない。

しかし皮肉にも反ユダヤ主義の悪化で、世界中から戻って来るユダヤ人は増えている。現地友人によると、戦争で旅行客は来ないが、町では、移住プログラムなどで、やって来るディアスポラの若者たちがかなり増えており、マーケットも賑わっているとのことだった。

ユダヤ人たちが、不可能な状況で、耐え難い困難と痛み苦しみを共有する中、今、秋の例祭が近づいてきた。その前に、共に悔い改め、彼らの神である主に立ち返ろうとしている。主とその民が一つになろうとしている。

こんな民は世界のどこにもいない。うらやましい思いだ。

イスラエルが選びの民であるのは、その有能性ではなく、こういう姿を通して、主がおられることを証するということなのだと思う。

私たちの救いの神よ。御名の栄光のために、私たちを助けてください。御名のために、私たちを救い出し、私たちの罪をお赦しください。

なぜ、国々は、「彼らの神はどこにいるのか」と言うのでしょう。あなたのしもべたちの、流された血の復讐が、私たちの目の前で、国々に思い知らされますように。

捕らわれ人のうめきが御前に届きますように。あなたの偉大な力によって、死に定められた人々を生きながらえさせてください。主よ。あなたをそしった、そのそしりの七倍を、私たちの隣人らの胸に返してください。

そうすれば、あなたの民、あなたの牧場の羊である私たちは、とこしえまでも、あなたに感謝し、代々限りなくあなたの誉れを語り告げましょう。(詩篇79:9-13)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。