今回の犯人はシロアム出身のパレスチナ人だった。事件との関連は、まだ証明されていないが、シロアムでは、先週にもパレスチナ人とユダヤ人が衝突している。
シロアムは、東エルサレムの旧市街外南側、ダビデの町に隣接するパレスチナ人の居住区である。しかし、この地域は、ダビデとの関わりもあり、ユダヤ教徒にとっては非常に重要な地域。エルサレム市も、市の一部であるとして、発掘や観光にからんでの開発を試みている。
現在、シロアムには、一部の宗教シオニスト系のユダヤ人が、ダビデの町を中心にパレスチナ人に囲まれるようにして住んでおり、その居住地域を広げる動きがある。
先週、シロアムの建物を購入したとするユダヤ人9家族が、シロアムに移り住んで来たことから、パレスチナ人と衝突。欧米諸国からも相当な非難を受けている。
仮庵の例祭の時、シロアムのユダヤ人たちが、谷の底で、パレスチナ人の住居に見下ろされるような状況の中で、大きな音楽を響かせて踊る様子が見えた。確かに、わざわざそこでやらなくても・・・とも思わせられる光景だった。
<サイレント・インティファーダ>
インティファーダとは、パレスチナ人がイスラエルの”占領”に反対して投石などで暴動を起こすことを指す。1980年代後半に始まり、2000年には、市民をねらった自爆テロが頻発する第二インティファーダが発生している。
最近では、ケリー国務長官が推進していたイスラエルとパレスチナの和平交渉が頓挫して以来、パレスチナ人の暴動が時々発生しており、第三インティファーダの可能性がささやかれ続けている・・・が、”まだ”そこまで至っていないと分析されている状況である。
しかし、ここ数週間、神殿の丘での暴動が急増している他、走行中のイスラエルの車両への投石、上記ライトレールが、東エルサレムを通過する時に投石されるという事件がめずらしくなくなっている。
こうした行為の多くは、大きな死傷には発展しないためにメディアに取り上げられないことから、「サイレント・インティファーダ」と呼ばれている。
一方、パレスチナ人からは、ユダヤ人”入植者”がパレスチナ人居住区に現れては、値札行為と呼ばれる落書きなどの卑劣な行為や、子供たちに対する暴力を振るっている、それを警察は取り締まらないと訴えている。
こちらも、あまりニュースになっていないのだが、実際には、西岸地区などで、10代のパレスチナ人とイスラエルの治安部隊の衝突が頻発し、多数の逮捕者や負傷者、死者も出ているもようである。