ロシアがシリアへS300ミサイルを供給すると発表したことで、アサド政権が勢力を盛り返す気配が出てきている。
19日、イギリスの新聞によると、シリアがテルアビブを標的にしたミサイルを配備したことがわかった。ロシアがS300をシリアに搬入した際、イスラエルが再びシリア領内で、空爆を行う可能性が出てきたためである。
アサド大統領は、「イスラエルは反政府勢力を支援している。イスラエルが、再びシリア領内への攻撃を実施すれば、即テルアビブに反撃を加える。」と言っている。
こうした強気の発言は今に始まったことではない。しかし、今回、シリアがテルアビブに照準を合わせたとされるミサイルは、ティシュリーンと呼ばれ、シリア製では最も精密な地対地ミサイル。専門家によると、このミサイルが攻撃目標をはずすことはないという。
シリアはイランと同盟関係にある。そのイランは現在、核兵器開発疑惑で欧米とくすぶっており、今年中にイスラエルかアメリカが、軍事行動にでるのではないかとの見通しもある。世界の目をイランからそらすため、シリアが実際にイスラエルを攻撃する可能性も否定できないという。
これに対し、ネタニヤフ首相は閣議において、シリア情勢を最重要項目にあげ、「シリアから、ヒズボラへの武器供給は断固阻止する。(ヒズボラへの武器移送があればシリア領内への攻撃を行う)」との方針を改めて強調。「中東がこれまでになく緊迫した時代を迎えた。」と語った。
<シリア、ヒズボラが猛反撃>
レバノン国境に近いシリアの町で、シリア政府軍とヒズボラの連合軍が、反政府勢力に対して猛反撃を行い、町を奪還する勢いとなっている。ヒズボラ側は少なくとも30名死亡、司令官も失ったもようである。
<反政府勢力内部で仲間割れ>
19日、反政府勢力どうしで戦っているとの報道があった。
シリア情勢では、アサド政権が政権を交代するしかないという流れになっているが、ロシアが言うように、一概にアサド政権が倒れた方がよいとは言い切れないのも確かである。
反政府勢力に、あまりにも様々なイスラム過激派、しかもかなり極端で残酷なグループが入り込んでおり、まともに政権をになえるグループが一つもないからである。しいていうなら、最大の勢力になりつつあるのがアルカイダである。
先週、反政府勢力の男が、死亡したシリア軍兵士の心臓(実際は肺)をえぐり出して食べるというグロテスクな映像が世界に流され、シリアの霊的な暗黒の深さを露呈した。
とはいえ、アサド政権も、残酷な拷問、恐怖政治、化学兵器使用など、そのまま政権に残ることは赦しがたいことである。どうしたらいいのか・・今やだれにもまったくわからない状況となっている。