7日夜、シリアとレバノンのメディアが、イスラエル軍8機が、シリア領内を空爆したというニュースを流した。
情報によると、空爆を受けたのは、ダマスカス近郊の国際空港と、レバノンとの国境に近いディマ。両地点は、高度な地対空ミサイルS-300の倉庫とヒズボラへの搬入拠点だったとみられる。
8日になり、アラブ系メディアは、この攻撃で、ヒズボラ関係者2人が死亡したと伝えた。
S-300は、ロシア製で、もしヒズボラの手にわたれば、イスラエルとヒズボラの力関係を”逆転”させる可能性があるとして、数年前から問題になっている武器。すでにロシアからシリア(アサド政権)へ一部は搬入されたとみられている。
イスラエルはこの武器が、ヒズボラの手にわたるのを防ぐため、諜報機関を最大限働かせて破壊工作を行っている。これまでにすでに複数回、シリア内外での空爆を実施している。ただし、イスラエルは肯定も否定もしていない。
今回も、イスラエルのステイニッツ情報相は「危険は国外にあるうちに対処するという原則は変わらない。」とコメントしながら、攻撃を否定も肯定もしなかった。
<混乱極めるシリアの力関係>
シリア・イラクでは、ISISに対し、アメリカと有志国が、空爆を続けているが、先週イランが、アメリカに相談もなく、イラク領内のISISを空爆したと確認されている。
一方、今回、イスラエルが、攻撃したといわれているのは、ISISに敵対するシリア、アサド政権の陣営。イランは「イスラエルが、ISISを支援している証拠だ。イスラエルは事情を説明せよ。」と訴えている。
なお、イスラエルはシリアの内戦やISISの問題には、関わらないという方針を続けている。今回、もしイスラエルがシリアを攻撃したとすれば、言うまでもなく、ただ自国の治安を守るという目的のためだけである。