今ヘルモン山で雪が降っているということは、同じヘルモン山周辺のシリア難民の頭上にも雪が降っていることを意味する。
レバノンには、200の難民キャンプがある。そこに83万8000人のシリア人が、粗末なテント生活をしている。テントだけで暖房なし。暖かい服も寝具もなし。裸足の子どもたちの写真が届いている。しかもイスラエルより北で気温がさらに低いとなると、その厳しさは相当だ。
レバノンの総人口は約430万人である。そこへ83万、つまり総人口の20%にあたる難民が入ってきたことになる。レバノン政府が、難民に十分な支援をしていないことは明らかである。
レバノンで取材している記者によると、シリア人たちは相当な苦難の末にレバノンへ逃れてくるのだが、あまりに過酷な環境であるため、あえて内戦中のシリアへ帰っていく人が少なくないという。
国連によると、現在のシリア難民の避難先は以下のようになっている。なお、難民の約半数は子どもたちである。
①レバノン83万8000人、②ヨルダン56万7000人、③トルコ54万人、④イラク20万7000人、⑤エジプト12万9000人
⑥シリア国内難民650万人
<アメリカ・イギリスの武器以外支援停止>
アメリカ・イギリスなど西側諸国は、反政府勢力の自由シリア軍を通して、人道支援の他、車両や通信機器など武器以外の支援を行っていた。
ところが、11日、トルコとの国境付近で、物資の搬入拠点になっていた自由シリア軍の町が反政府イスラム勢力によって占拠された。これを受けてアメリカとイギリスはいったんすべての物資の搬入を停止したことがわかった。
シリアでは先月、反政府勢力内部の7つの勢力が合体し、戦闘員45000人の大勢力が結成された。このため、西側が支援する自由シリア軍はもはや最大勢力ではなくなっていた。
この新しいイスラム勢力にアルカイダ系は含まれていないが、”外国からの聖戦協力者”を歓迎するとしており、アルカイダやその他のイスラム勢力とも協力活動をする可能性も残されている。
アメリカは、人道支援は停止しないと言っているが、状況は厳しい。なお、アメリカは、シリア難民のために、2億5000万ドル(約250億円)、イギリスは2000万ポンド(約34億円)のコミットをしている。