イスラエル軍は、シリアで反政府組織HTSが、アサド政権を打倒するにあたり、12月8日(日)、シリアと2分していたヘルモン山のシリア側を制覇し、地域を見下ろす非常に重要な場所を獲得した。
また、シリアとの間にある緩衝地帯も制覇した。既存の国境線から5-7キロ、シリア側にはみ出すことになり、地域には、レバノン人の7つの村があるが、無抵抗だった。シリア軍は、全てを放棄して東へ逃げていった。
イスラエル軍は、シリア軍の戦車や、ミサイルなど軍備、インフラを押収するとともに、その地域に軍隊を展開し、シリアとの国境を監視する体制に入った。イスラエル軍はまた、安全のための防護壁も設立する予定とのこと。
7つの村の住民たち数千人は、変わりない日常を続けている。いわば、イスラエル軍に保護されている形である。
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国際社会はイスラエルにシリア緩衝地帯から撤退を要請
イスラエルがシリアの緩衝地帯に前進したことについて、国際社会は、イスラエルが、ダマスカスへ侵攻を計画しているのではといった懸念が広がっている。
12月10日(火)、カタール、トルコ、エジプトが、イスラエルがシリアの領地を占領したと非難した。
www.timesofisrael.com/qatar-turkey-egypt-join-condemnation-of-israels-activity-across-syrian-border/
以前シリアを支配していたフランスは、これは、1974年の第四次中東戦争(ヨムキプール戦争)後の合意に違反すると指摘。イスラエルに対し、シリアの主権と領土保全を尊重して、緩衝地帯から撤退するよう、要請してきた。
また11日(水)になり、アサド大統領を保護しているロシアが、フランスと同様に、1974年の合意に違反するとして、イスラエルに撤退を要請するとともに、シリア領内でアサド時代軍備を空爆していることに懸念も表明した。
またドイツとスペインは、イスラエルに対し、アサド政権から次の政権への意向を妨害するような行動は、自制するようにと要請した。
これに対し、アメリカとイギリスは、イスラエルの安全上の問題を理解するとして、これを支持すると表明した。
これに対し、イスラエル軍のハガリ報道官が、緩衝地帯に立って、声明を出し、イスラエルは、自国の防衛のために、ゴラン高原の緩衝地帯に駐留しているだけで、ダマスカスはじめシリアに侵攻する予定はないと強調した。