様々なアラブ系メディアが報じたところによると、金曜夜、ダマスカス郊外にあるイランの軍事基地とみられる施設が、イスラエルの空軍機によって攻撃された。大きな爆発があり、ダマスカスでは一時停電になったという。
アラブ系メディアの報道によると、イスラエルは、レバノンで偽の空爆を行い、その攻撃がシリアのイラン基地にまで及んだといった設定で攻撃したもようである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5050707,00.html
また、イスラエルからは地対地ミサイルが発射され、何発かは、迎撃ミサイルでで撃墜されたとの報道もある。 なお、この攻撃による被害は、今のところ、物的被害だけで、人的被害は報告されていない。
これらは皆、アラブ系メディアの報道で、イスラエルからの情報ではない。イスラエルは、沈黙し続けていたが、土曜、ネタニヤフ首相が「イスラエルは、イスラエルを滅亡させると公言しているイラン政権が、核兵器を持つことを許さない。
また、イラン政権が、スラエルを滅亡させることのために、シリアに軍事基地を定着させることをけっして許さない。」というビデオ・メッセージを発表した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5050841,00.html
<今後のシリアはイランが主役になる!?>
先月、ロシアとアメリカは、ISISの弱体化を受けて、特にシリア南部、ヨルダンとの国境において、イスラエルから7-20キロまでは非武装地帯にするということで合意したことはお伝えした通り。
これはイスラエルが最低でも国境から40キロと要求しているのをまったく無視した形で、特にヘルモン山では、国境から7キロの地点にまでイランがやってくる可能性を温存する形になる。
ロシアとアメリカの合意ー明確には明らかにされていないが、米露は撤退し、シリア領内では、今後イランが大きな影響力を持つということでの合意であったともみられている。実際、アメリカは、ISIS拠点の一つラッカが陥落したことを受けて、海兵隊400人以上をシリアから撤退させた。
これが示す意味は、今後イスラエルは、これまでのように、シリア内戦には不干渉とばかりは言っていられなくなったということである。
これからは、自分の防衛は自分で行うしかない。必要とあれば、早めにたたくようにし、イランが本格的な軍事基地を作らないようにしなければならない。
今回のダマスカス郊外への攻撃について、イスラエルはまだ攻撃を認めていないが、ネタニヤフ首相のコメントからも、イスラエルはいかなる方策によってもイランのシリアへの進出を許さないという決意は本物であると釘をさした形である。
www.jpost.com/Opinion/Israels-Red-Lines-on-Irans-Foothold-in-Syria-515685
クウェート紙によると、これに先立つ先週日曜、アサド大統領は、「もしイスラエルがアサド政権の存続を認めるなら、ゴラン高原から40キロの地点までを、非武装地帯にしてもよい。」との妥協案をプーチン大統領を通じて、ネタニヤフ首相に打診した。
ネタニヤフ首相は、「承諾してもよいが、シリア領内から、イランとヒズボラ勢力を追い出すという目標は継続する。」と伝えたという。
ISISが弱体化したシリアに関しては、今後に関する国際会議が今月中にも開かれる予定になっている。イスラエルとしては、この和平に乗じて、ゴラン高原をシリアに返還せよというようなことにならないかとの懸念もあがっている。
こうした流れを受け、イスラエルのチャンネル10の取材に応じたアメリカ政府高官は、「シリアの内戦が完全に終焉するまでは、イスラエルを見捨てることはない。イランを国境からできるだけ引き離す努力をする。」とフォローした。しかし、いうまでもなく、イスラエルがこれをあてにすることはない。
www.timesofisrael.com/us-has-reassured-israel-it-wont-abandon-syria-to-iran/