先週、ミュンヘンで米露を含む17カ国が、ISISとアルヌスラへの攻撃以外の軍事攻撃を一時停止し、シリア国内にいる難民への人道支援を行うということで合意したが、それに反するように、トルコが新たにクルド人勢力への攻撃を開始した。
トルコとクルド人勢力は、クルド人の独立をめぐって昔から対立する関係にある。今回、トルコがシリア北部(トルコとの境)の領地を奪回したクルド人に、そこから退却するよう要請したところ、クルド人らは「ここを退却したらまたイスラム勢力が入り込む。」との理由で退却しなかった。
それでトルコがクルド人を攻撃しているというわけである。しかし、クルド人勢力はISISに対してよく戦っており、欧米が背後で支援している勢力である。
ロシアは、欧米がISISとの戦いのために支援している反政府勢力(過激派勢力以外)をアレッポで攻撃し、今度は、トルコが、欧米が支援するクルド人勢力を攻撃している。
アメリカは、「ISIS攻撃に集中してほしい。」と叫び、フランスもトルコに対し、「約束したとおり、ISISとの戦いを優先し、クルド人勢力への攻撃を停止するよう、要請した。
しかし、トルコとサウジアラビアが同盟を組んでシリアへ本格介入し、ロシアとイランに対抗する動きもあり、シリア情勢はまた一歩混迷を深めた様相である。