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シリア南部スウェイダ内乱の様相:940人死亡
シリア南部スウェイダでのドルーズとベドウィンの戦闘。シリア政府軍が介入し、停戦の報告は何度か出たが、ドルーズとべドゥイン(スンニ派イスラム)に様々なイスラム系部族の聖戦主義者が加わって、内戦の様相になっている。
報道によると、スウェイダ道路には遺体がころがっており、建物は燃やされて、壮絶な様相である。
その後、7月19日(土)、アメリカが仲介して、シリアのアル・シャラア大統領と、ネタニヤフ首相が停戦で合意したとの発表があった。*この後、20日(日)5pmに停戦発効になった。
同じく19日(土)、スウェイダでは、ドルーズが、大規模な作戦に出て、夜には、地域を支配するようになり、ベドウィンなど対抗部族たちが、スウェイダからは立ち去っていると報じられた。
その後、20日現在で、一応の静けさは戻っているようだが、いつ戦闘が戻ってもおかしくないとも言われている。
シリア人権監視団体によると、7月12日(土)の時点で、これまでの死者は940人。このうち、326人がドルーズで、このうち262人は市民であった。また、死亡した民間人のうち、182人は、シリア政府軍によって処刑されていた。

政府軍が、子供や女性を殺し、略奪し、ドルーズの聖職者の髭を剃ると言った侮辱的な行為にも及んでいるという。
スウェイダにいたクリスチャンの家族も全員が抹殺されたとの情報もある。
こうした中、ベドウィン(スンニ派イスラム)の死者は、21人とドルーズよりかなり少ないことがわかる。
www.catholicnewsagency.com/news/265395/violence-against-christians-escalates-in-syria
つまりどうなっているかというと、国を統括するアル・シャラア大統領は、確かに多様性に寛容な国を目指す意志はあるのかもしれないが、その政府軍の中には、アサド政権を打倒した過激なスンニ派たちや、過激で残酷なイスラム国関係者もいると言われている。
実際の戦闘現場では、政府軍は、ドルーズとベドウィンの争いの沈静化ではなく、ベドウィンと協力してドルーズやクリスチャンなど、非イスラム少数派たちを、殺害していたという。
このため、イスラエル軍は、スウェイダで、シリア軍への空爆を行い、シリア軍兵士15人が死亡したとのこと。
この事態に危機感を募らせた、イスラエル在住のドルーズ2000人が、もし、べドゥインと政府軍がこの殺戮をやめないなら、シリアに入って、スウェイダのドルーズたちに加勢するとの文書に署名した。
この2000人の中には、ドルーズで、イスラエル軍の予備役兵として登録されている者もいた。これはイスラエルにとってはおだやかなことではない。イスラエル軍は、この動きに対し、シリアのドルーズの問題は、イスラエル軍に任せるように強調しているとのこと。
スウェイダでは、今、とりあえず、静けさは戻っているが、油断はできないといえる。
イスラエルはスウェイダの病院に医療機器・薬品搬送へ
イスラエルの保健省によると、イスラエルは、遺体と負傷者で溢れかえっているスウェイダの病院に、医療機器と医薬品を搬送する準備をしている。
なお、シリア南部での戦闘が始まってから避難した人は、8万7000人と国連はみている。
