内戦が激化しているシリアについて、30日、スイスのジュネーブで外相級国際会議が開かれた。バン・キ・ムーン国連総長の他、参加国は安保理5カ国と周辺国あわせて16カ国。
シリア問題特使のアナン氏は会議の前に、「国際社会はこれまでシリア問題について、なにひとつ成し遂げられないでいる。これ以上、何もできないままでいるなら、後に歴史が私たちを裁くだろう」と一致を呼びかけた。
<連立移行政府組織>
会議では、アナン特使が、次のカードとして、現政権と反政府グループ双方からなる「連立移行政府組織」を立ち上げて、アサド大統領に政権を返上させる案を提案し、話し合いが行われた。
アナン特使の案では、アサド大統領本人は、この移行政府組織に参加できないとしていたが、その点についてはロシアが合意しなかった。そこで、「アサド大統領は参加できない」とする一文は削除された。つまり、厳密に言えば、アサド大統領もこの移行政府組織に参加できるということになる。
これに対し、アナン特使は、「これほどの犠牲を払って戦っている反政府側が、手を血まみれにしているアサド大統領とともに、政府組織を立ち上げるとは考えられない。」と語った。
最終的に、国際社会が一致することが重要だとして、「シリア人しだい」という理解の元に、アサド大統領の辞任を含まない「移行政府組織案」で国際社会全会一致という発表がなされた。
この案には期限は記されていないが、アメリカのクリントン国務長官は「今年中」と語ったもよう。なお、アサド大統領は、「シリアのことに外国は干渉無用」との態度を維持している。
<石のひとりごと>
シリア問題をみていると日本の幕末を思わされる。あの時、徳川慶喜が大政奉還していなかったら、ちょうど今のシリアのように、日本中を巻き込む内戦状態になっていただろう。
そうなれば、国際社会やイランのような国が入り込んできて、今ごろ日本はどうなっていたかと思う。しかし、日本は大戦争も、国際社会の助けもなしに民主国家への移行をなしとげた。今思えば、自ら権力の座から降りて政権を返上し、内戦を回避した慶喜の決断に敬意を表したい。