シリアのイラン精密兵器施設(CERS)攻撃で14人死亡:レバノンへの本格的攻撃の気配か 2024.9.10

A fire sparked by an alleged Israeli strike in the Masyaf area of central Syria, late September 8, 2024. (SANA)

レバノン本格的攻撃は避けられないかもしれない現状

ガザでの攻撃が続く中、ヒズボラからのロケット攻撃は、今も数日おきに数十発レベルで続いている。北部国境住民約6万人は、もう1年近く自宅に帰れておらず、ホテルぐらしには、当事者も支援する国も限界が近づいている。

国境付近にいるヒズボラが、ハマスのように、侵入してくる可能性も時間の問題かもしれない。

こうした中、イスラエルによるとみられるシリアのイランの重要な武器開発関係施設(PCRS)への大規模なミサイル攻撃と実際に破壊が発生した。いよいよレバノンへの大規模な攻撃が始まるのではないかとの見方がひろがっている。

また、ヒズボラのドローンが、国境ではないため、住民が避難していない、ナハリヤのアパートに着弾し、緊張が高まっている。

ガンツ氏は、ガザからレバノンへ軍事力を移動させるべきだが、もうすでに遅いかもしれないと言っている。アメリカも、イランで壊滅的な戦争になると警告しているとの情報がある。

www.timesofisrael.com/gantz-says-military-focus-should-shift-from-gaza-to-lebanon-were-late-on-this/

シリアのイラン系ハイテク武器研究所(CERS)などへの空爆:シリア人14人死亡

8日夜23時から9日午前2時にかけての4時間の間に、少なくとも15発のミサイルが、シリアのマシヤフ、ホムス、ハマ、タルススの軍事施設に向けて発射された。いくつかは迎撃されたが、多くは着弾し、施設が破壊された他、火災も発生した。

注目される点は、マシャフで破壊されたのが、CERSとして知られる、イラン軍の化学兵器、精密ミサイル製造に関わる科学研究センターであったという点である。ここは、イラン軍が精密地対地ミサイルを製造しているとイスラエルが見ていた場所であった。

この攻撃で、14人が死亡。43人が負傷した。6人が重傷である。I24ニュースは死者が25人と報じる中、5人は民間人で、あとはシリア兵かイラン関係者だったと報じている。

10月7日以来、シリアへの攻撃で最も死者数が出た攻撃となった。シリアとイランは、イスラエルによるものと非難しているが、イスラエルは沈黙である。

イスラエルの攻撃であったとして、これほどの攻撃を実施したということは、レバノンへの本格的な攻撃の準備ではないかとの分析がでている。

www.timesofisrael.com/israel-allegedly-strikes-syria-area-believed-to-house-iran-forces-5-killed-19-hurt/

ヒズボラのドローンがナハリヤのアパートに着弾

ウィキ

9日午後、イスラエル北部で地中海に面するビーチがある町、ナハリヤ(人口6万4000人)の高層アパートの14階に、ヒズボラのドローンが着弾し、白い壁に黒い跡形をのこしている。負傷者はなかったが、2部屋が住居不能となった。

ナハリヤでは、都市キブツと呼ばれる新しい取り組みが行われている地域であった。これは、昔のように、農牧をしながらすべてを共有したキブツのシステムを、近代

A drone impacts a building in Nahariya on September 9, 2024 (Screencapture X/ used in accordance with Clause 27a of the Copyright Law)

的な設定の中で運営するというプログラムで、全国15箇所で取り組まれている。

ナハリヤでは、アパート10軒を借りて、互いに協力しながら、美しい地域で共に住むという、平和な地域であある。

これからいつドローンが飛んできてもおかしくないという現状に、住民たちは、これから、ナハリヤやその周辺地域が、キリアット・シモナ(毎日のようにロケット弾を受けて住めなくなっている町)のようになるのではないかとの恐怖が広がっている。

www.timesofisrael.com/after-hezbollah-strike-on-nahariya-residents-say-government-abandoned-them/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。