18日、パレスチナ自治政府のベテラン政治家で、イスラエルとの交渉にも長く関わってきたサエブ・エレカット氏(65)が、新型コロナによる重症肺炎で、イスラエル側エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院に搬送された。
その後エレカット氏は呼吸困難に陥り、挿管して人工呼吸器に依存する重症となった。現在コロナ患者用のICUで治療を受けている。エレカット氏は、肺線維症の既往があり、2017年に肺移植手術を受けていた。
ハダッサ・ヘブライ大学病院のロステイン院長は、エレカット氏が、最高の治療を受けており、スタッフは。全力を挙げて回復するように働いていると語っている。
エリコに在住するエレカット氏が、イスラエル側の病院へ入院することになった背景には、同氏の病状が悪化したことを受けてパレスチナ自治政府が、緊急に、イスラエル側へ打診。ガンツ防衛相がこれを許可したことで、実現したとのこと。
エレカット氏の治療については、ヨルダン政府も、全力を尽くすよう指示していたが、結局、イスラエル側へ搬入されたということである。
なお、パレスチナ自治政府では、同じくベテランのハナン・アシュラウィ氏も、今月初頭、新型コロナに感染したと伝えられている。
www.jpost.com/breaking-news/saeb-erekats-covid-19-symptoms-worsen-en-route-to-hadassah-646114
エレカット氏をイスラエルの病院に入院させたことについて、一部の議員からは、ハマスが、イスラエル人捕虜2人と兵士遺体を返さない以上、受け入れるべきではないとの声もあるとのこと。(パレスチナ自治政府が、ハマスと手を組もうとしているため)
しかし、逆にこのことを通じて、パレスチナ人たちの間に、イスラエルが敵ではなく、隣人であるとのイメージが広がればと思う。
www.timesofisrael.com/mks-say-israel-should-have-demanded-palestinian-concessions-to-treat-erekat/
<コロナ重症で入院中の父の前で結婚式>
エレカット氏が入院しているハダッサ・ホスピタルでは、コロナ病棟に重症で入院している父親のために、ビルの上で結婚式が行われたことが話題となっていた。
記事によると、入院しているのは、超正統派の花婿の父親(56)で、9月から入院しているとのこと。映像をみると酸素吸入をしながら、窓から結婚式を見おろしている。医療ボランティアのヤド・アブラハムという組織が、病院に掛け合い、実現した。
映像を見ると、超正統派の新婚夫婦と家族たちが、きちんと感染予防対策をとりながら健婚式を執り行っている。
www.ynetnews.com/magazine/article/HJ9qJJjwD#autoplay
コロナ対策において、イスラエルの病院では、防護服姿の看護師たちが、名前と笑顔の写真をつけてケアにあたっている。
この結婚式をみても、患者をただの医療を必要とする患者としてではなく、一人の人としてケアしている。この姿勢は突起すべき点だと思う。