サエブ・エレカット氏(パレスチナ自治政府)コロナ重症でイスラエルの病院へ搬送 2020.10.19

エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院 出展:wikipedia

18日、パレスチナ自治政府のベテラン政治家で、イスラエルとの交渉にも長く関わってきたサエブ・エレカット氏(65)が、新型コロナによる重症肺炎で、イスラエル側エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院に搬送された。

その後エレカット氏は呼吸困難に陥り、挿管して人工呼吸器に依存する重症となった。現在コロナ患者用のICUで治療を受けている。エレカット氏は、肺線維症の既往があり、2017年に肺移植手術を受けていた。

ハダッサ・ヘブライ大学病院のロステイン院長は、エレカット氏が、最高の治療を受けており、スタッフは。全力を挙げて回復するように働いていると語っている。

エリコに在住するエレカット氏が、イスラエル側の病院へ入院することになった背景には、同氏の病状が悪化したことを受けてパレスチナ自治政府が、緊急に、イスラエル側へ打診。ガンツ防衛相がこれを許可したことで、実現したとのこと。

エレカット氏の治療については、ヨルダン政府も、全力を尽くすよう指示していたが、結局、イスラエル側へ搬入されたということである。

なお、パレスチナ自治政府では、同じくベテランのハナン・アシュラウィ氏も、今月初頭、新型コロナに感染したと伝えられている。

www.jpost.com/breaking-news/saeb-erekats-covid-19-symptoms-worsen-en-route-to-hadassah-646114

エレカット氏をイスラエルの病院に入院させたことについて、一部の議員からは、ハマスが、イスラエル人捕虜2人と兵士遺体を返さない以上、受け入れるべきではないとの声もあるとのこと。(パレスチナ自治政府が、ハマスと手を組もうとしているため)

しかし、逆にこのことを通じて、パレスチナ人たちの間に、イスラエルが敵ではなく、隣人であるとのイメージが広がればと思う。

www.timesofisrael.com/mks-say-israel-should-have-demanded-palestinian-concessions-to-treat-erekat/

<コロナ重症で入院中の父の前で結婚式>

出展:ハダッサ医療センター

エレカット氏が入院しているハダッサ・ホスピタルでは、コロナ病棟に重症で入院している父親のために、ビルの上で結婚式が行われたことが話題となっていた。

記事によると、入院しているのは、超正統派の花婿の父親(56)で、9月から入院しているとのこと。映像をみると酸素吸入をしながら、窓から結婚式を見おろしている。医療ボランティアのヤド・アブラハムという組織が、病院に掛け合い、実現した。

映像を見ると、超正統派の新婚夫婦と家族たちが、きちんと感染予防対策をとりながら健婚式を執り行っている。

www.ynetnews.com/magazine/article/HJ9qJJjwD#autoplay

コロナ対策において、イスラエルの病院では、防護服姿の看護師たちが、名前と笑顔の写真をつけてケアにあたっている。

この結婚式をみても、患者をただの医療を必要とする患者としてではなく、一人の人としてケアしている。この姿勢は突起すべき点だと思う。

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。