ケリー国務長官が6回目となる中東訪問を今週中に予定している。イスラエルとパレスチナの直接和平交渉再開の具体化が目標だ。
和平交渉再開については、イスラエルの建築活動の全面停止を和平交渉開始の条件とするアッバス議長のスタンスは変わっていない。
一方、ネタニヤフ首相は、「根本的にパレスチナ人が、”ユダヤの国”イスラエルの存在を受け入れるのかどうか」が問題であって、入植地が問題の核心ではない主張。エルサレムや西岸地区の入植地での建設を継続している。
今回もあまり期待感はないが、ともかくケリー米国務長官は再び挑戦するもようである。
<憎しみはつのる・・>
ケリー国務長官やネタニヤフ首相が、なんとか平和を実現したいと努力する背後で、先週、ユダヤ人によるイスラエル在住アラブ人の町2カ所で大々的な「値札行為」があった。
「値札行為」とは、「アラブ人は出て行け」などと大きな落書きをしたり、車のタイヤに切り込みを入れるなどの嫌がらせ行為である。先週、エルサレム近郊のアラブ人地区のアブゴーシュで車28台、ベイト・ハニナで20台の車が被害にあった。
アラブ人たちは、「イスラエル政府はユダヤ人テロリストには甘い。逮捕しても24時間で出てくる。」と怒りをつのらせている。このままでは第三インティファーダになるかもとの声も。
一方、アラブ人も、アラブ人議員が国会で、イスラエルを呪うような言葉を言い続けていることも問題となっている。
<平和の実現を阻むパターン>
こうした過激な人々は双方にいるが、一般大衆は、ユダヤ人でもアラブ人でもとにかく平和を望んでいる。一部の過激な者たちが、常に平和への努力を壊してしまうというのがパターンである。
アラブの世界では、イスラエルを非難することで英雄となり、イスラエルを認めることで命の危険すら出てくるので、公の人物はイスラエルに同調する発言ができないというパターンがある。