クルーズ船帰国イスラエル人1人陽性確認(国内初)2020.2.22

横浜クルーズ船から下船して帰国するイスラエル人たち 出展:在日本イスラエル大使館

クルーズ船イスラエル人1人帰国後陽性

横浜のクルーズ船から、コロナウイルス陰性で健康な乗客が下船し始めたことを受けて、イスラエルは。特別機を派遣。ぎりぎりになって陽性が判明した1人を除く11人が、金曜朝4時、ベン・グリオン空港に到着した。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/276295

空港では、マーゲン・ダビッド・アドン(救急隊)、言いかえれば、生物兵器対策の訓練もつんだ緊急医療の専門家たちが、完全防備姿で11人を迎え、テル・アビブ近郊のシェバ医療センターへと11人を移送した。

全員、元気で、「アム・イスラエル・ハイ!(イスラエルの民は生きている)」などと歌いながら、嬉しそうであったが、その後の検査で、一人が陽性であることがわかり、ただちに隔離された。イスラエル国内で初の感染者が出たことになる。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/276318

シェバ医療センターには、外部との接触がないところに特別な隔離施設が作られている。それぞれが個室で、夫婦は隣同士の部屋に置かれている。

家族に面会するのは2週間後になるため、家族の手製の食事などが、各部屋に置かれて、帰国者の帰りを歓迎していた。陽性の人が一人出たということで家族たちの落胆は言うまでもないことである。

www.timesofisrael.com/israel-confirms-first-coronavirus-case-as-cruise-ship-returnee-diagnosed/

今回、帰国した11人以外で、陽性反応が出た4人は、現在も日本の病院にいるが、どの人も重症ではないという。イスラエル人も専門医が派遣され、4人のサポートにあたっている。

*下船して帰国後に陽性:アメリカ、オーストラリア

横浜のクルーズ船に2週間隔離された人々を迎えに来た国は、イスラエル以外では、アメリカ、カナダ、オーストラリア、香港などとなっているが、帰国後に陽性反応が出る人の報告は、イスラエル以外からも出ている。

最初に400人を連れて帰ったアメリカでは11人が陽性に、オーストラリアでも2人が、帰国後に陽性反応となった。

どの国も帰国後、さらに14日間の隔離が実施されているが、日本人は下船後、すぐに帰宅しているわけである。帰宅後陽性になる人は必ずいると思われるが、もはや、水際作戦の段階ではないということであろう。

筆者の実家地域でも、3人がクルーズ船から帰ってくるということで、恐怖のうわさが流れはじめている。

www3.nhk.or.jp/news/html/20200221/k10012294941000.html

東アジアからの帰国者:自宅隔離守らず

イスラエル健康省は、中国に加えて、東アジアの4国、香港、タイ、マカウ、シンガポールからの帰国者は、2週間、自宅で自主隔離するよう指示を出したが、係官が、自宅を訪問した結果、実際には、50人ほどは、自主隔離していないことがわかった。

このため、健康省は、もし自主隔離していないことがわかった場合は、7年の収監もありうると厳しく釘をさす声明を出した。

しかし、実際のところ、この指示が出される数日前に戻った人は、監視されていないので、今から監視することに、意味があるのかと感じているイスラエル人は少なくないようである。

www.ynetnews.com/article/S13xRSn7U#autoplay

あらたにイスラエルへの入国後、14日間の隔離が義務付けられるということは、これらの国々からの旅行者も、実質入国できないということになる。ツアーの中止を余儀なくされるグループが出ている。

イスラエルでは多くのタイ人が出稼ぎに来ていることから、タイ政府は、イスラエルに対し、この措置を見直すよう、要請を出した。しかし、今の所、変更はない。

日本人については、不思議な感じもするが、今の所、まだ入国制限は出ていないことから、ツアーグループは続けて到着している。しかし、日本人拒否も時間の問題だろう。

イスラエルは、同胞イスラエル人であれば、たとえ感染していても、帰国させることを歓迎し、嫌がる様子はないが、外国人の場合はそうではない。空港や、エルサレムでも、バスなどに乗ると、アジア人に対する視線が変わってきていると感じる今日このごろである。

石のひとりごと:世界に広がるコロナウイルスとその影響

世界のグローバル化で、ウイルスはもはや、あっという間に世界中に拡散している。加えて、日本にいたクルーズ船からの帰国者が、帰国後各国で、陽性となり、世界にウイルスを撒き散らす結果になった。
ロシアでは、帰国後の対応があまりにも悪いため、陽性患者が脱走。ウイルスを撒き散らしている可能性がある。
イランも死者四人。イランに関係してレバノンでも感染者が出た。北朝鮮も実際には、多数の死者が出ているとみられる。中国では、いったん回復した人がまた肺炎を再発したとの報告が出た。
中国とはまったく関係のないケースも出てきていると、WHOは懸念を表明している。
また、致命的な重症に陥るのは、高齢者がほとんどと言っていたのに、子供も感染し、中国以外でも、学校が休校になりはじめている。
旅行業、製造業が大打撃を受けて、世界経済へも影響が出ている。日本円は、急落して1ドル111円となった。危うい時の円買いの時代が終わるとも言われている。
パレスチナ人の間では、不安から暴動が発生したが、ウクライナでは、今頃になって、ようやく国がチャーター機で武漢からの帰国者を連れ戻ったことから、帰国者のバスが襲撃される事件まで発生した。
世界は、それぞれが国境を閉じるだけでなく、イスラエル以外は、国内でも違いに疑心暗記となり、急速に「愛が冷める」事態になりはじめている。
韓国では、宗教団体を介して、陽性者が一気に100人も出て、韓国が中国に次いで二番目に感染者の多い国となった。今後、教会も含め、礼拝や、集会が難しくなるだろう。
ウイルスという目に見えない敵に、これまで憎みあっていた国々も、貧しい国も富んだ国も、人類みな、まったく共通の恐怖に振り回されている。ここから何がはじまっていくのだろうか。主は何を伝えようとされているのだろうか。
聖書によると、こうした事態は預言されたことではあるのだが、いよいよという緊張を感じる。しかし、また、これが「生みの苦しみのはじまり」であることも知っておくべきであろう。
「信仰」の名の元で語られる根拠のない楽観ではなく、冷静に状況を見据えつつ、できることをする。ますます、主との個人的なつながり、主の声をそれぞれが聞くことの必要な時代のはじまりである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。