上記のような事件が続いている真っ最中であるが、クネセト(国会)は、現在の位置に設立された1966年からちょうど50周年を迎えた。19日、クネセトでは朝から50周年記念イベントとして、国会を市民に開放するオープンハウスを行った。
もちろん当日参加ではなく、前もって登録した団体のみの入場だが、関係者の話ではこの日1日で4000人が来たという。
テロが続くこのご時世である。かなりのセキュリティが必要と思われるが、あまりの混雑で、実際には、カメラもコンピューターも鞄から出さないままという、空港よりゆるいセキュリティだった。
国会の敷地内に入ると、かわいい幼稚園児から、小学生、中高生。イスラエル軍新入隊員の一団、警察の一団、さらにはいかにも公民館の高齢者グループご一行と、まさに”ばらがん”状態。もちろん、日本人のようにきれいに並んでいるグループはひとつもないし、誘導もない。
なにやらコンサートらしきものもやっていたが、子供の叫び声やら、先生たちの「しー!しー!」という声。ティーンエイジャーの女の子たちの金切り声でただただやかましいの一言。
訪問者は国会内を歩きながら、議会室や、ブースを回って行くのだが、ほとんど聞いてない小さな幼稚園児数十人を前に、なにかを教えていたり、イスラエルの歴史コーナーでは、国を開拓した農業技術の紹介で、おばちゃんたちの一行が、やんやと質問しながら楽しんでいた。
また、おもしろいのは、小学生たちの模擬国会。国会のしくみを実際にやらせてみるのだが、こちらも係官の質問にやかましいほどの応答がある。
首相室前も今日は小学生でにぎわっている。男の子たちの一団が、ずらっと並ぶ歴代首相の写真の前にばばっとかけより、指差して「ベン・グリオンや~」などと叫んでいてとてもかわいかった。
感動したのは、多くのアラブ人学生たちが来ていたことである。イスラエルの国民のおおむね25%はユダヤ人ではない。国会にはアラブ政党もある。彼らもイスラエル市民なのである。
この日は、ツービーシャバットと呼ばれる樹木を記念するユダヤの祭りとのことで、国会出口では、KKL(イスラエルの国土を守る組織)からの小さな緑の鉢植えがプレゼントされた。元気なティーンエイジャーの一団が、出て来る人々に、笑顔で鉢を渡していたのだが、アラブ人学生たちにも笑顔で渡し、アラブ人も受け取っていた。なんとも心温まる風景だった。
また、イスラエルでは、今週から来週にかけて、世界の防衛関係の専門家が集まるINSS (イスラエル国家防衛研究所)の国際カンファレンスを皮切りに、サイバー技術関係の国際カンファレンス(ベエルシェバ)、続いて、世界のスタートアップ(起業家)が競って投資家を募るイベント(エルサレム)と、世界の頭脳と精鋭ビジネスマンらが集結するイベントが続く。
泣いたり笑ったり、イスラエルは実に忙しい国である。