ガリラヤ湖北部にあるエル・アラージ遺跡は、新約聖書に出てくるベツサイダではないかと言われていた町の遺跡である。
およそ確定とは言われていたが、ベツサイダの位置については、エト・テルなど別の候補地もあり、まだ確定されたわけではなかった。
ところが、先月7月、エル・アラージ遺跡一体で、野火が3日続いて、周辺の深い森林を消失させた。そのため、これまでにはわからなかった新たな遺跡が現れ、この町が予想以上に大きかったことが判明することになった。
これにより、ここがベツサイダであるという説を裏付けることになった。ここで発掘を行なっていたキネレット大学のモルデハイ・アビアム教授とそのチームに大きな喜びとなっている。
*ベツサイダ:ペテロたちの故郷・2匹の魚と5つのパンの奇跡
ベツサイダは、新約聖書に出てくる使徒ペテロ、アンデレ、フィリポが生まれた町である。また、イエス・キリストが5つのパンと2匹の魚から、男性だけで5000人(全体だと倍以上)の群衆全員を満腹にした奇跡が行われた町でもある。
マタイによる福音書:14章13-21節 マルコによる福音書:6章30-44節 ルカによる福音書:9章10-17節 ヨハネによる福音書:6章1-15節
アル・アラージがベツサイダではないかと考えられてきた理由は、漁師町らしく湖に近く、カペナウムとクルシの間に位置していること。1世紀の歴史家ヨセフスが記録しているベツサイダの位置とも一致してきたことがあげられる。
またローマ時代の浴槽跡があり、1世紀に町として存在していたこと、またその後の時代に、クリスチャンたちが建てていた教会の遺跡も発見されている。この地がキリスト教徒にとって重要だったからである。

2019年に、5世紀の教会の遺跡が発見され、2022年に「天の使者の頭であり指導者」「鍵の番人」とペテロを意味するギリシャ語の碑文(ビザンチン時代)が見つかり、ここがペテロに深く関係する町、彼の生まれ故郷であるベツサイダである可能性が高いとされた。
(カペナウムにあるペテロの家は、妻の実家)
www.timesofisrael.com/inscription-points-to-sea-of-galilee-site-as-st-peters-home-say-researchers/
ガリラヤ湖は今、夏で40度をはるかに超える暑さなので、発掘はできないが、10月に学者たちが戻って調査が進められるとのこと。
ただし、もうここがベツサイダであり、1世紀前後にユダヤ人の漁師町があったことが確定しているので、保護のため、必要以上の発掘はしないとのこと。
www.timesofisrael.com/ancient-galilee-church-unearthed-said-to-be-home-to-apostles-peter-and-andrew/
以下は2年前(ハマス襲撃前)のエル・アラージ発掘のクリップ
石のひとりごと
イスラエルに行くと、聖書がリアルに見えてくる。2000年前、確かにユダヤ人たちはここに住んでいた。弟子たち、そしてイエス・キリストも実在していたことをイスラエルは示している。聖書は、宗教の本ではなく、実在のことが書かれている本である。
そのイスラエルの存在をハマスはなきものにしようとしている。発掘する若者も今は、多くが兵役に行っているかもしれない。
しかし、ハマスが、実在のイスラエルを消すことはない。イスラエルを憎む者の方が消えることになるということもまた聖書は、現実のこととして示しているからである。
