ガザGHF周辺でこれまでに500人死亡とガザ保険当局主張・イスラエルは誇張と反論 2025.6.30

Palestinians carry humanitarian aid packages near a GHF distribution centre in Khan Younis on Thursday. (AP Photo: Abdel Kareem Hana)

食料配布所付近での混乱でこれまでに500人死亡と主張:イスラエルは否定

ガザ南部で、アメリカとイスラエルが開始した、GHFによる食料配布センターの周辺では、食糧を取りに来る市民たちを、イスラエル軍が銃撃しているというニュースが、日本でも続いている。

ガザ保険当局(ハマス)は、殺された人の数は500人にのぼると主張している。日本では、朝日新聞が、ガザ保険当局によると、餓死者を含めこの12日間で870人が死亡したと、とんでもない数字を報じている。

www.asahi.com/articles/AST6X2DW0T6XBQBQ2D9M.html

しかし、GHFもイスラエル軍もこの数については、誇張されていると否定を表明している。

イスラエル軍によると、GHFの食料配布センターでは、規定のラインから出るパレスチナ人に対し、警告や時には銃撃もあるとのこと。しかし、それでもこれほどの数にはなっていないと主張している。

www.timesofisrael.com/idf-soldier-killed-in-combat-in-northern-gaza/

イギリスの音楽祭で“IDF(イスラエル軍)に死を”

こうした中、日本を含め国際社会では、イスラエルに対するジェノサイドだとの非難が拡大している。

イギリスでは、6月28日(土)、ロンドンで行われた人気の高いグラストンベリー音楽祭で、ラップのミュージシャン、ボビー・ヴィランが、大群衆の前で、「死、IDFに死を」「川から海までパレスチナは解放される。インシャアラ(アラーのみこころだ)」と、イスラエル軍を呪う歌詞を歌う様子が、そのまま、BBCで報じられ、問題となった。

イスラエル軍に対する呪いというのは、これが初めてである。あまりにもはっきりIDFと指名しており、非常に不気味な感じである。

また、同じ音楽祭では、アイルランドからのラッパー、ニーキャップも、イギリスでは禁止されているパレスチナ活動グループのTシャツを着ていたことから、調査が行われている。

在英イスラエル館が、「BBCとグラストンベリーは、説明する責任がある」との声明を出した。これを受けて、イギリスのスターマー首相は、「この恥ずべきヘイトスピーチに、言い訳はできない」と行っている。

石のひとりごと

いやはや、このラッパーの様子は、不気味であり、気分が悪くなった。それをこの群衆が大いにもてはやしている。悪霊にしかみえない。。

しかし、世界的にも情報が偏る傾向にあり、イスラエル、また特に戦場にいるイスラエル軍をジェノサイドだと非難することが、普通になる傾向にある。

日本でも同様で、なぜと思うほどに、イスラエルを非難する方向の記事にしあがっている。中東情勢の知識に遠く、聖書も知らない日本人が、イスラエルを非難することは、自然な流れだろう。

先日セミナーをさせていただいた教会で、一人の男性が、クリスチャンでない妻に、「聖書の民、イスラエルがあんなジェノサイドをしているのはどういうわけか」と詰め寄られるが、どう答えたらいいか教えてほしいとの質問があった。

情報が偏っていることや、イスラエル側からみた情報を伝えても、インパクトはなさそうだった。

また、確かにイスラエルが、神に見捨てられることはないと聖書には書かれているし、実際に歴史はそれを証明している。

では、敵を殺すことなく、何もしなかったとしても、神が救出にくるのではないか。神を信頼しないで、自力で敵を殺しながら、戦っているイスラエルの方が悪いのではないか。

確かに、イザヤ書37章では、エルサレムにいて、アッシリアに攻め込まれた、ユダの王、ヒゼキヤ王は、自ら戦うのではなく、彼らの神、主に助けを求めた。すると、主は、その使いを遣わして、アッシリア軍の18万5000人の軍を倒して、エルサレムを守ったと書かれている。

しかし、今のイスラエルは、全ての国民がこれほどの信仰を持っているわけではなく、高度な民主国家である。ネタニヤフ首相が、独裁的になって、神に信頼して、防衛をやめると言うことはあり得るだろうか?

確かにイスラエルは、主を証する国として神に選ばれた国であり、その名がつけられてはいるが、今のイスラエルは、まだ地上にいる、救われる前の国であることも忘れてはならない。彼らの失敗を通して主を証するという役割なのである。

そう考えている時に、ネタニヤフ首相が言っていたことを思い出した。

当初、トランプ大統領は、バンカーバスターを使うかどうか微妙だった。もし使わなかったら、イスラエルは大変な苦労を強いられる。しかし、ネタニヤフ首相は、アメリカがバンカーバスターを使うかどうか、それはアメリカが決めることだと言って、批判はしなかった。それは、イスラエルが何かいうことではなく、純粋にアメリカが決めることだというのである。

同様に、私たちは、イスラエルがどうするべきかを言える立場ではない。神を全面的に信頼して、敵を殺すことをやめるかどうか、それを決めるのは、イスラエルである。

特に、信仰云々を抜きにした現状からすると、敵にかこまれている、イスラエルが戦闘をやめたら、あっという間に滅ぼされるだろう。そのイスラエルに対し、第三者が非難する資格はない。

同じ聖書を信じる者、彼らの失敗のおかげで先に救われたクリスチャンたちは、全能の神とつながっている。今、苦難に立っているイスラエルを、自分の判断に基づいて非難するのではなく、逆に彼らが、そういう人殺しをしないですむように、主が彼らを助けてくださるように、とりなす使命がある。

その時に、イスラエルの敵として立っている、彼ら自身も悲惨なところにいる、パレスチナ人たち、イラン人たちも覚えながら、とりなしていくということである。

 

 

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。