ガザ飢餓状態とハマス主張で国際社会の非難がイスラエルに集中:イスラエルの反応は 2025.7.23

Palestinians wait to receive a hot meal at a charity kitchen in the Mawasi area of Khan Younis in the southern Gaza Strip on July 22, 2025. (Photo by AFP)
Muhammad Zakariya Ayyoub al-Matouq, a 1.5-year-old child in Gaza City, on July 21, 2025. (Ahmed Jihad Ibrahim Al-arini / Anadolu, via Reuters)

ハマス保健省は、7月22日(火)、ガザの病院で、48時間の間に、4人の子供を含む20人が、栄養失調で死亡。戦争が始まってから子供80人を含む101人が栄養失調で死亡したと発表した。

www.timesofisrael.com/unprecedented-20-gazans-died-of-starvation-over-two-days-hamas-says/

国際メディアは、がりがりになって餓死していく子供たちの映像を、センセーショナルに報じている。

イスラエルは、餓死者の数は誇張されており、ガザが飢餓状態にあるという報告を否定した。

ガザへの食糧搬送事情

イスラエルは、5月19日からガザへの食糧搬入を停止。代わりに、アメリカの人道団体GHFによる、食糧配布を支持してきた。

Palestinians carry sacks of humanitarian aid unloaded from a convoy of trucks that were heading to Gaza City, in the northern Gaza Strip, July 20, 2025. (AP Photo/ Jehad Alshrafi)

しかし、この方法では、ガザ市民が遠距離を歩いてセンターまで来て、大量の乾燥食のみを持ち帰らなくてはならい。

途中の検問所でトラブルになったり、受領センターでは、群衆が大混乱に陥って、銃撃が発生。毎日の様に数十人規模の死者が出ている。

効果的に食糧や水の配布が行われていないため、イスラエルは、以前のような配送システムを再開。WFP(世界食糧事情)などが、搬送を開始していた。

COGAT(イスラエル軍の政府活動調整担当部署)によると、この2ヶ月の間に、トラック4500台が、ガザに入り、主には配給センターへ、一部は各地へ搬送されたとみられる。

しかし、現在、950台が、検問所で搬送待ちの状態にある。このように、物資は十分、ガザに搬入していると主張している。

実際には、ガザ内部が、カオス状態なので、配給センターでの受領も、トラックによる搬送も効果的な供給源にはなっていないということである。

国際社会はイスラエルのみを非難しているが、ガザ各地へ搬送するのは、イスラエルではなく、国連関係組織ということになっている。搬送不備の責任は、国際社会にもあるとイスラエルは主張している。

また。イスラエル軍は、搬送の妨害ではなく、逆に支援していることを表しているのが、以下のイスラエル軍の投稿である。

物資を乗せたトラックを、ガザ市民がたかって、横領する横で、イスラエル兵たちが、互いに「撃つな!」と言いながら、その様子を撮影。最後には人々が笑顔で物資を持って、イスラエル軍に手を振っている様子を投稿していた。

ガザ市民の非人道的な住居環境事情

イスラエルは、こうした物資供給問題への対応策として、ガザ南部に仮設の町を設立し、ガザ避難民にそこへ移動してもらい、支援を効果的にするという人道都市計画を発表した。

west of Gaza City on July 19, 2025. (Omar AL-QATTAA / AFP)

しかし、これはガザ市民への強制移住、強制収容所であり、結局のところ、イスラエルは、ガザからパレスチナ人を追い出そうとしていると非難が相次いだ。

しかし、ガザでは、すでに90%以上にあたる、200万人以上の人が、アルマワシなどの人道地帯に非難を余儀なくされている。

これは、ガザの全住民が、わずか2%あまりのエリアに集中しているということである。非常に不衛生であり、非人道的だと国際社会の非難が、イスラエルに殺到している。

国際社会の非難:イスラエル政府の反応・イスラエルの医師会からはガザ支援すべきと書簡

先週、日本を含む25カ国(報道によっては28カ国・アメリカは入っていない)がイスラエルは、直ちに停戦すべきだと、イスラエルのみを非難する共同声明を出した。

www.timesofisrael.com/25-western-nations-call-for-end-to-gaza-war-say-suffering-has-reached-new-depths/

この声明に対し、イススラエルは、今、特に停戦に向けた交渉の最中に、国際社会がハマスを非難せず、イスラエルのみを非難することは、ハマスを有利にするだけだとして、この声明を拒否した。

イスラエルの国連大使ダノン氏は、国連において、国際社会は偽善者だと非難。この危機を生み出しているハマスこそ非難されるべきだと訴えた。

www.jpost.com/israel-news/article-861917

しかし、現実は現実である。イスラエルの医師会は、イスラエルが、ガザに不足している医療機器や医薬品を届けるべきだと要請する書簡を、イスラエル軍のザミール参謀総長やCOGATコーディネーターに提出した。

これは医療的な倫理であり、道徳であり、国際人道法においてもするべきことだと言っている。

www.timesofisrael.com/israel-medical-association-beseeches-cogat-and-idf-for-humanitarian-and-medical-aid-in-gaza/

石のひとりごと

ガザのカオスは、もはやどうにも手がつけられない様相になっている。その中で、不思議なほどにイスラエルだけが、相変わらずの悪者にされているのである。私たちはすべての支配者である主に目をむける。

苦難の日にはわたしを呼び求めよ。わたしはあなたを助け出そう。あなたはわたしをあがめよう。(詩篇50:15)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。