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ガザ第二段階:ハマス支援国がガザ復興委員会に指名でイスラエル激怒
アメリカは、1月14日(水)、トランプ大統領が提示した20項目に基づき、ガザ復興に向けた第二段階に入ると宣言した。ガザで、国際部隊による停戦を監視しながら、非武装化と文民による体制立ち上げの準備を始める段階に入るということである。
これに伴い、ガザとその周辺では、数々の組織や委員会が立ち上げられている。アメリカ主導で様々なことが決められていく中、イスラエルは警戒を持って見守っている。

そうした中、アメリカが、行政委員会にパレスチナ自治政府関係者を指名しているだけでなく、執行委員会に、カタールとトルコという、明らかなハマス支援国が含まれていた。
イスラエルは、アメリカに対し、ガザの復興プロジェクトに、パレスチナ自治政府、トルコ、カタールの関与を認めないと言い続けてきた。それが無視された形である。
イスラエルのメディアによると、ガザ執行委員会のメンバーに、トルコ、カタールが含まれていたことについて、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相に前もって知らせていなかった。
イスラエル国内では、最後の人質ラン・グヴィル軍曹の遺体も戻らない中で第二段階に進んだことに加え、イスラエルを無視して委員会メンバーの選出が進められていることに怒りの声が出ている。
ガザ復興をとりまく様々な“アメリカ傀儡”委員会
ガザ復興をとりまく委員会が多々立ち上げられており、非常に複雑になりつつある。現時点での状況をまとめる。
1)ガザ平和委員会 (Board of Peace)
平和委員会は、国連安保理傘下の委員会で、ガザでの戦後処理を監視する委員会である。任期は2027年末までとなっている。委員長はトランプ大統領で、ルビオ米国務長官、ウィトコフ特使、クシュナー大統領補佐官、トニー・ブレア元英首相も加わる。
構成する委員は、世界諸国の首脳で、1月16日(金)と17日(土)に、委員への正式な招待が、60カ国以上に送られた。ミニ国連だとも言われている。
招待された国の中には、イスラエルに好意的でない、トルコ、エジプト、カナダ、アルゼンチン、パキスタン、ヨルダンなども含まれており、それぞれ招待を受け入れると推測されている。
なお、この委員会の大きな目的は、ガザ復興への投資もあるようである。この委員会に10億ドルを拠出した国は、委員会任期最長3年というルールは適応されないとしている。
平和委員会の第一回目の会議は、今週ダボス(スイス)で行われる世界経済フォーラムに合わせて開催される予定。
www.jpost.com/middle-east/article-883656
2)NCAG(ガザ行政国家委員会)
ガザで、実質的な行政管理を行う組織の立ち上げを担う委員会として、NCAG(ガザ行政国家委員会)が発表された。委員は、パレスチナ人文民の15人。
委員長は、元パレスチナ自治政府服計画相で、貿易関係のエンジニアのアリ・シャアス博士が務める。シャアス氏は、「戦争には戻らない。パレスチナ人たちの痛みを取り去り、治安を回復し、ガザに安定と安全と取り戻す」と語っている。
Today, as my first official act, I adopted and signed the NCAG Mission Statement, affirming our governing mandate and operating principles:
Authorized by the UN Security Council Resolution 2803 and President Donald J. Trump’s 20-Point Peace Plan, the National Committee for the… pic.twitter.com/WJJZLtW356
— Dr. Ali Shaath (@AliShaathNCAG) January 17, 2026
この他、農業非営利団体のアブドゥル・カリム・アショル氏が農業委員長。現在、パレスチナ医療扶助協会の会長であるアエド・ヤグシ氏が保健委員。前パレスチナ住宅評議会(NPO)のオサマ・サアダフィ氏が住宅委員。
元ペンシルベニア州最高憲法裁判所判事のアドナン・アブ・ワルダ氏が司法委員。パレスチナ自治政府の情報局(ハマスからは敵としてみなされている)のサミ・ナスマン少将が警察長官。
元ラファ自治体局長のアリ・バルフム氏が、廃棄物管理を担当で、水道などインフラ含む自治体事務委員も担当する。ビジネスコンサルのバシール・アル・ライス氏が財務委員。
クリスチャン弁護士で人権団体のディレクター、ハナ・タルツィ氏が社会問題委員、ガザ市パレスチナ大学学長、ジャボラル・ダオウル氏が教育委員、パレスチナ通信会社元取締役のオマール・シャマリ氏が通信委員、ガザ商工会議所の議長であるアイド・アブ・ラマダン氏が、経済貿易委員。
代表のアリ・シャアス氏は、すでに、複数の委員たちとともに、エジプトに到着しているとのこと。
3)ガザ執行委員(Gaza Executive Board)
NCAGのガザ現地での働きを見守る国際的な監督組織として立ち上げられるのが、「ガザ執行委員会」である。いわば、「ガザ平和委員会」の手足のような存在。
上級代表として、実質的にNCAGとの連絡を担うのは、元国連中東特使ニコライ・ムラデノフ氏となっている。ムラデノフ氏が、ガザの管理、復興などあらゆる側面における理事会を監督し、民事と治安関係組織との調整も行っていくとのこと。いわばキーパーソン的な存在になる。
国際社会からは、エジプト(シャラド諜報部長)、トルコ(フィダン外相)、カタール(タワディ上級外交官)、UAE(アル・ハシミー国際協力相)、元イギリス首相のトニー・ブレア氏、アメリカ大手投資会社アポロ・グローバル・マネージメントCEOマーク・ローワン氏、キプロスのイスラエル系実業家ヤキール・ガベイ氏、元国連人道支援コーディネーターのジグリット・カーク氏が、委員として上がっている。などの名前が上げられている。
4)設立執行委員(Founding Executive Board)

ガザ執行委員会メンバーに加えて、ウィトコフ米特使、クシュナー米大統領補佐官、ルビオ米国務長官、世界銀行総裁バンガ氏、トランプ大統領の元国家安全保守副顧問ガブリエル氏など。
ガザでの政治組織立ち上げの際のアドバイザー的な存在か、監督はするが決定には関わらないとされている。
5)国際安定化部隊(ISF)
ISFは、ガザの治安維持を図り、人道・復興支援物資の安全な搬入を守る。ハマスを含め包括的なガザの非武装化を進めて、まだガザの53%の地域に駐留しているイスラエル軍を順次撤退させ、役割の交代を目指す。

ISFの総司令官は、レバノンでの停戦監視を指揮した経験もあるアメリカの中央司令部特殊作戦司令官のジャスパー・ジェファーズ少将が任命されている。
しかし、ISFに参加する国はまだ定まっていない。
www.ynetnews.com/article/s1wjwwkswe
6)CMCC(民軍調整センター)

CMCCは、昨年10月にガザで停戦となった際に、アメリカ主導で、ガザでの停戦を監視する国際組織として立ち上げられた組織。拠点はイスラエルのキリアット・ガットにある。
参加国は、アメリカを中心に、イスラエル、アラブ諸国(エジプト、UAE、ヨルダン)、日本、オーストラリア、ヨーロッパ諸国の20カ国。
停戦以降、ガザ内部での停戦の監視や、国際社会からの物資の搬入などの管理を担っている。
www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-883734
日本からもCMCCに人員1人が派遣される予定で、先週、茂木外相がCMCCを訪問していた。
様々な分析:アメリカの植民化との批判も
様々な委員会の中で創設委員会があるが、メンバーの7人がアメリカ人である。そのため、体よく植民地化しているのではとの声もある。しかし、この仕組みがうまくいくかどうかはまだまだ疑問の方が大きいだろう。
イスラエルはハマスの完全な武装解除を求めているが、それはどこまで実現できるか明らかでない。イスラエル軍とハマスの衝突は今も続いている。
ガザのがれきは6000万トンもあり、その中には遺体もまだまだ残されている。困難は想像を絶する。資金は誰が出すのか。人間が作り上げたこの大混乱。もはや人間にはどうしようもできない様相である。
またこうしている間も、ガザにいる200万人の市民たちは、雨と寒さと物価高と食糧難と伝染病とに見舞われている。主のあわれみを祈るしかない。
