ガザ戦闘で新回廊設立へ:人質2人生存プロパガンダビデオ 2025.4.7

IDF troops operate in Rafah's Tel Sultan neighborhood in the southern Gaza Strip on April 2, 2025. (Israel Defense Force)

イスラエル軍ガザで新回廊開設へ

イスラエル軍は、3月18日から戦闘を再開し、ハマスを追いつめながら、要所を抑えて、監視下に置く方向で戦闘を進めている。発信するメッセージは、イスラエル軍の攻撃をやめさせたいなら、人質を解放せよ、である。

国連人道支援事務所によると、市民は、ガザ60%のエリアに入らないよう指示されており、戦闘地域がガザの60%に及んでいるとも考えられる。

ガザ保健省(ハマス)によると、3月18日に戦闘再開になってからのガザでの死者は、1000人以上となっている。

現在、イスラエル軍は、ガザ南部でエジプトからの補給路になっているラファを、ハンユニスはじめ、ガザの各地から断絶するため、以前からあるフィラデルフィ回廊と並行して、新たな回廊を設営しようとしていると伝えられている。

この回廊は、以前、ガザにあったユダヤ人入植地の名をとって「モラグ回廊」と呼ばれている。(青のライン)

www.timesofisrael.com/netanyahu-says-idf-carving-new-corridor-across-gaza-to-cut-off-rafah-pressure-hamas/

ハマスの反応は:相変わらずの心理作戦

ハマスは、エジプトを仲介とする水面下でのイスラエルとの交渉に関わってはいるようだが、進展はない。逆にイスラエルへロケット弾を発射している。

また、5日(土)、ガザにいる人質、バル・クベルシュタインさん(22)と、マキシム・ヘルキンさん(35)のプロパガンダビデオを公開し、心理作戦も続けている。

2人は、今もガザにいる人質59人のうち、生存しているとみられる24人の中に含まれている人々である。2人は、ノバ音楽フェスで拉致されていた。

クベルシュタインさんは、音楽フェスで警備員、救急隊員を務めていた。両親と4人の妹たちを経済的にも支えていたという。

ヘルキンさんは、ロシアとの二重国籍で、停戦が崩壊する前には、ロシアがハマスと交渉し、別途先に解放させる案も上がっていた。しかし停戦が崩壊したことで、この案も反故となった。

ヘルキンさんには、3歳の娘がいる。母親と11歳の息子を経済的に支えていた人だった。

www.timesofisrael.com/hamas-hostage-video-shows-maxim-herkin-and-bar-kupershtein-in-first-signs-of-life/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。