緊張が高まっていたガザ情勢だが、地元メディアが伝えているところによると、エジプトと国連の仲介で、ハマスとイスラエルの間に、長期停戦への動きが本格化しているもようである。
毎週金曜恒例になっているガザ国境での「帰還への行進」デモ(暴動)は、先週の金曜、4箇所数百人にとどまり、これまでで最も静かな金曜であった。
<エジプトのシシ大統領とアッバス議長会談>
エジプトと国連の仲介でハマスとイスラエルの間でなんらかの合意に至ることを快く思わないのが、アッバス議長であった。アッバス議長は、国際社会では”パレスチナ人代表”であるのに、この交渉については、蚊帳の外だったからである。
アッバス議長は、ガザ地区への送金を全て差し止めると脅迫することでハマスを追い詰め、イスラエルへの暴動を激化させて、エジプトの仲介への試みを妨害しようとしていた。これを鑑みてかどうか、3日(土)、エジプトのシシ大統領は、シナイ半島でアッバス議長と会談を行った。
その後、ハマスとの関連で知られるレバノンの新聞が伝えたところによると、ガザについて、今後3年の間に達成する目標が決められ、それが達成した場合に次の段階にいくということで、ハマスとイスラエルの間に合意が進んだもようである。その項目はまとめると以下の通りとなる。
①ハマスは、「帰還への行進」暴動を沈静化させる。平和的なデモは今年末まで継続する。
②イスラエルは、2検問所からの物資搬入を70%まで回復させる。
③国連がガザでインフラ整備を企画し、3万人の就業を実現する
④エジプトがラファの国境を開放する
⑤ガザの漁業海域を14マイルまで拡大する
⑥パレスチナ自治政府は、公職者の給与への支払いを80%にまで戻す(出資はカタール)
ロシアと国連がこれらを監視し、3年間これらが継続するなら、ハマスとイスラエルの間で、捕虜交換を行う。
www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Abbas-Sisi-meet-as-Gaza-deal-in-the-works-571013
実施されるかどうかは別として、とりあえず、ハマスとイスラム聖戦は、先週金曜の暴動を沈静化させている。
<ガザへのアメ作戦は効果的か>
WHOの報告によると、ガザの電力は1日3−4時間、水道の95%はもはや食用に不向きで、下水は未処理のまま、ガザの通りや海に垂れ流し。病院は機能しておらず、学校もほぼ機能していない。若者の失業率は60%にのぼる。
こうした中で、イスラエルが軍事力を使ってガザを攻撃することが逆効果になることは目に見えている。
しかし、ミサイルを撃ち込まれ、火炎風船で田畑を焼かれ、地下トンネルを掘り続けて、イスラエル南部住民が継続して被害を受け続ける中で、その相手の生活改善をし続けることは、決して容易いことではない。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5387104,00.html
実際、イスラエル南部のティーンエイジャーたちが、ガザへの反撃を行わない政府に抗議するため、日曜、エルサレムまでの90キロを歩くマーチを始めた。デモ隊は木曜にエルサレムに到着するみこみ。