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ガザ周辺地域の今
ガザではまだ戦争が終わっておらず、ハマスが非武装化するかどうかもわからない。しかし、ガザのすぐそばにある、周辺地域では、ハマス襲撃から2年後の今、すでに、回復が始まっている。
特に被害が大きかった5地域を除く、13地域については、今年9月の段階で、90%が回復していると報告されていた。
避難していた元住民たちが、帰宅したのに加えて、他地域から、50組の家族が移住しつつあり、現時点で2500人が住んでいる。
個別にみると、ケレン・ショムロンでは、住民の88%が戻り、新たに6家族が移住してきた。エイン・ハシロシャでは、住民の90%が戻り、5家族増えた。
ニリムでは、90%が戻って、1家族増えた。キブツ・レイムでは、90%が戻り、10家族増えた。キブツ・ナハル・オズでは、今年9月1日に、住民の帰還が始まったキブツ・ナハル・オズは、約3週間後に33%が戻り、4家族が増えている。
この背後には、国の膨大な復興計画があった。インフラの復興とともに、新たな温室など、農業における新技術投入、被災者の回復、教育への投資を含め、国は、この地域の復興のために、5年間で52億5000万ドル(約7900億円)を計上。この2年の間に、24億ドル(3600億円)が使われていた。
被災者の子どもたちの回復への投資は、①教育支援に5億シェケル(200億円)を投じることで、クラスの生徒数を縮小し、情緒と回復へのケアを熱くする。②子どもたちの帰属意識を回復するための社会活動に7000万シェケル(28億円)が計上されている。
この他、天才児など、特殊な教育や、そのためのインフラなどへも4600万シェケル(18億円)が投資されている。教育において、かなりの優遇措置であるとみられる。
大人たちのためにもウエルネスセンターや、福祉インフラなどの充実に、1億2800万シェケル(51億円)、トラウマやグリーフケアに6100万シェケル(24億円)が計上されていた。こうした心理的なケアは、実際に多くの人々が利用している。
こうした状況から、他地域のイスラエル人たちが、あえて、この地域を選んで移住してくる人がいるということなのだろう。復興を超えた、地域開発の様相である。
被害が大きかった5地域

なお、被害が大きく、復興がまだ遅れている5つのキブツなどでは、住民たちはまだ戻れないので、外から来て、修復作業を行なっている。しかし、これらの地域でも復興は進められている。
キブツ・キスフィムでは、この11月に修復が終わり、住民の帰還が始まるとみられる。
クファル・アザは来年7月、キブツ・べエリは来年8月に、住民の帰還が可能になるみこみである。
最も激しい破壊に見舞われたキブツ・ニール・オズでは、住民が戻る見込みは立っていないが、今年4月に、復興に向けた予算について、国と合意したとのこと。
www.ynetnews.com/article/sy4vvrvslg
石のひとりごと
ガザでの戦争はまだ終わっていないし、ハマスもまだ消えるかどうかわからない。そのすぐ横で、あれほど悲惨な被害を受けた地域に、膨大なお金をかけて、復興を試みる国、そして、そこに住む人々がいる。
これこそ負けないということであり、勝利を主張する姿である。さすがイスラエルだと思う。
また、復興にとどまらず、地域開発への原動力にする。その中でも、人への細やかな投資も忘れない。国民を国の財産と見る、イスラエルらしい動きだと思う。
これにハマスは勝てないということである。イスラエルの政府と担当閣僚のために、そこに住もうとする、被災した人々や新しい家族たちのために祈ろう。
