ガザ北部ジャバリヤのカマル・アドワン病院での戦闘は完了とIDF 2024.10.29

IDF troops operate in the Kamal Adwan hospital in Jabalya, northern Gaza Strip. October 28, 2024. (credit: IDF SPOKESPERSON'S UNIT)

カタールのドーハでは、イスラエルとハマスの人質解放とそれに伴う停戦に関する交渉が始まっている。いろいろな情報がとびかっているが、まだ明らかな情報が出ていない。

ガザ北部ジャバリヤの病院での戦闘完了とイスラエル軍

ガザ北部ジャバリヤでは、3週間前から、イスラエル軍とハマスの激しい戦闘が続いている。イスラエルが医療・人道支援物資の搬入を制限しているとして、国際的に問題になっている戦闘地域である。

その中心となっていたのが、公立のカマル・アドワン病院。ハマスの指揮基地になっていたため、イスラエル軍は、数週間前から病院関係者や患者に避難を呼びかけ、輸血などの支援物資を届けて病院昨日が継続できるようにする中、25日(金)、いよいよこの病院での戦闘を開始した。

戦闘開始から3日後の28日、イスラエル軍は、この病院での戦闘はおおむね完了したと発表した。

武器を押収した他、約40人のテロリストを拘束し、事情聴取を進めている。中には10月7日の奇襲に関わっていたものもいたという。一人は、救急車の運転手で、はっきりと、救急車が軍事目的に使われていたと証言している。ハマスは、この戦闘で55人が死亡したと発表した。

イスラエル軍の警告で、ジャバリヤから避難していったガザ市民は、約5万人。検問所を通って、ガザ市の新しく設立された避難地方面へ向かっていった。

既存する南部アルマワシ方面へ向かっていった避難民はいなかったという。南部でも戦闘になっており、死者が出ているので、人々は、もはやどこへいっても同じと考えているとみられている。

この移動していった5万人の中から、イスラエル軍は、約600人をテロリスト容疑として拘束していた。実際のところ、テロリストは、ガザ市民の中にいるのであって、いったい、どこまでをテロリストというのか、どうにも明確でないということを指摘する記事もあった。

ジャバリヤには、まだ避難民数十万人が残っているが、ハマスもまだ数百人いるとみられている。イスラエル軍は戦闘を継続するとのこと。

ジャバリヤの現状は

戦闘開始から3週間たった、ジャバリヤがどんなことになっているのか。以下の報告はFRANCE24という、イスラエル人もよく利用しているメディアの報告である。

アラブ系以外のジャーナリストはガザに入れないので、中からの映像を受け取るしかないといいながら、この地域の今を解説している。

なお、この3週間にわたるジャバリヤでの戦闘で、イスラエル兵も10人が戦死していた。

www.timesofisrael.com/idf-ends-raid-against-hamas-at-north-gaza-hospital-says-dozens-of-suspects-detained/

石のひとりごと

ガザの破壊の様子とその中にいる人々の苦難は、想像を絶する。しかし、イスラエル兵も戦死している。ガザはもはや死の暗闇、地獄状態なのだろう。戦争の底なしのむなしさと恐ろしさを実感する。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。