ガザへの人道支援物資を陸路搬入から海路搬入へ
餓死者が出ていると問題になっているガザ北部だが、3月1日、陸路での搬送中に人々が殺到。将棋倒やトラックに轢かれたり、イスラエル軍との衝突も発生して、100人以上の死者を出す大惨事になった。
その後、空路でパラシュートをつけて物資を落下させる方策が取られたが、どこに落ちるかコントロールできず、上から落下する重い箱に当たって死者も出る結果となった。残るは海路である。
この方法であれば、陸路移動中に、ハマスや過激派に横取りされる心配はないからである。イスラエルは3ヶ月前にこの案を表明していたが、強硬右派政治家らに反対されたことで、3ヶ月も足止めとなり、いまだに実施されていなかった。
アメリカは、待ちきれなかったのか、ガザ沿岸に臨時の桟橋を作って、継続的に海路で物資を届けると発表。検査運営はイスラエルに任せるとバイデン大統領が表明し、イスラエルは、これに賛成する様子である。しかし、この桟橋建設には少なくとも数週間から2ヶ月かかると言われている。
そうした中、今週、イスラエルが、海路での食糧搬送が実施に入ったとのニュースが入った。
1)海上輸送アシュドド経由で小麦粉をガザ北部へ:イスラエル関連の民間会社がガザで配布予定
12日、小麦粉など食料200トンを乗せた最初の輸送船が、イスラエルのアシュドドからガザへ向かった。ガザに到着後は、ガザ市南にあるWCK(世界中央キッチン)の臨時の桟橋を利用し、WCKを通してガザ市民に届けられることになる。
WCKは、スペインの著名人ホセ・アンドレス氏による民間支援組織で、2010年のハイチ大地震の時に設立された世界的な団体。イスラエルのケータリング会社などと提携し、スデロットやベエルシェバ、ゴラン高原など、問題がある地域や兵士たちへの大量の食料搬送を担っている。イスラエルと関係がある会社のようである。
WCK-provided aid has set sail for Gaza on the @openarms_fund boat. We dispatched almost 200 tons of food—rice, flour, legumes, canned veggies & proteins. Alongside the @UAEAid & @CyprusMFA, our Relief Team is working to send as many aid boats as possible.#ChefsForThePeople pic.twitter.com/oypXF8WbDH
— World Central Kitchen (@WCKitchen) March 12, 2024
エルサレムポストによると、今後、小麦粉11万4000トンを搬送する計画で、キプロスの港から、イスラエルのアシュドドへ運び、そこでイスラエルが検査した後、海路ガザ地区搬送する。完了すれば、ガザ地区の食料数ヶ月分になるとみられている。
ガザ沖にアメリカが設立する臨時桟橋ができれば、その後は、アシュドドではなく、その桟橋を経由することになるとのこと。
www.ynetnews.com/article/rj3zm66a6
2)国連とモロッコが陸路で食料をガザ北部へ
同じく12日、国連のWFP(世界食料計画)が、モロッコから空輸された食料を、イスラエル南部ケレン・ショムロンで、イスラエルが厳格に検査した後、陸路ガザ北部へと搬送した。
今回は、前のような衝突が発生しないよう、6台のトラックは、国境フェンス沿いを通過して、海岸沿いを走る軍用道路を使用して北上したとのこと。この軍用道路は、イスラエル軍が、ガザ北部中部への攻撃で使用する道路で、ハマスが来にくい道路である。
その後の市民への配布は、赤新月社(イスラム圏の赤十字社)が担当する。陸路で食糧がガザ北部へ搬送されるのは、3週間ぶりで、今回、2万5000人に食糧が届けることができたという。
COGATによると、今回はテストケースだった。アメリカは、この経路でも搬入を増量できるよう、イスラエルと協力していると語っている。
この他、COGATは、ヨルダンからの物資がアレンビー検問所を通じて西岸地区に入り、イスラエルを経由して、がざに入るトラックの台数を増やすことにも同意したとのこと。
ガザにはこのように、かなりの物資が搬入されているのだが、ハマスが搾取して、その後、市民には販売しているので、金がないために買えない人もいるという情報もある。今回搬入された物資が、正しく無料で、必要な市民に届くようにと祈りが必要である。
このように、イスラエルが、ガザの民間人を餓死させることを戦略に使っているという、国際社会からの非難は正しくないということである。