ガザ中央の戦闘でイスラエル兵2人死亡: 両親が戦闘継続支持を表明 2024.6.22

ガザで著名人息子たち2人戦死

ガザではラファでの進軍が加速されている他、ガザ中部や北部でも戦闘が続けられている。20日、ガザ中心部で、ハマスの迫撃砲を受け、イスラエル軍予備役兵2人が死亡。3人が負傷した。

1)オリンピック柔道コーチの息子:オメル・スマドガ第一軍曹(25)

オメルさんの葬儀
in Netanya, on June 21, 2024. (Photo by JACK GUEZ / AFP)

死亡した兵士は、オメル・スマドガ第一軍曹(25)写真左、サアディア・ヤコブ・デライ第一軍曹(27)写真右。

10月7日に、予備役兵として徴兵されたが、本人の希望で、最も危険な戦闘部隊、ゴラニ部隊に配属されていた。

オメル・スマドガ第一軍曹の父親、オーレンさんは、元柔道のオリンピック選手で、今はチームのコーチを務めている。オメルさんが戦死した日は、オーレンさんの54歳の誕生日だった。離れていたが、オメルさんは、その朝、戦場で父親の誕生日を祝っていたという。21日にネタニヤで行われた葬儀には、東京で銅メダルを獲得した柔道のサギ・ムキ選手たちも出席していた。

オメルさんの母親リアットさんは、オメルさんが、進んでゴラニ部隊に入ったことから、毎日心配していたという。送り出して今はもう帰ってこないことの深い心の痛みを訴えている。父親のオーレンさんは、イスラエル軍兵士たちに向かって、「強くあれ。私たちが勝つまで止まらないように」と呼びかけていた。

オメルさんには両親と、妹があった。

2)イシバ学生のサアディア・ヤコブ・デライ第一軍曹(27):母親は著名なニュース評論家で右派活動家

イスラエル国内では、イシバ学生の従軍免除の年練が引き下げられることで、従軍しなくていいケースが増えるとして、国内からの激しい反発が報じられているが、イシバ学生や、超正統派ユダヤ教徒の青年たちでも、進んで従軍する人も以前よりは増える傾向にある。

今回戦死した、サアディア・ヤコブ・デライ第一軍曹(27)はその一人だった。ヤコブさんの妻は、デライさんが、イスラエルの兵士が戦場で死んでいるのに、自分がクーラーの下で座っていることはできないと言っていたという。デライさんは、テルアビブのヤッフォに葬られた。

母親のラリーさんは、ニュースの評論家であり、西岸地区ビンヤミン評議会の議員、リクード所属の活動家である。ラリーさんは、「私たちには、社会と個人の一致、軍と個人生活の一致という使命を持っている。あなたはそれが可能であることを証した。」と語った。

父親は、ヤコブさんが、トーラーを全部知るほとに熱心だったと語り、司令官として部下たちには父親のようだったと語った。

ヤコブさんには、妻レイチェルさんと、娘(2歳)、息子(1歳)と両親、5人の兄弟があった。

www.timesofisrael.com/went-out-to-fight-and-didnt-come-home-funerals-held-for-2-soldiers-killed-in-gaza/

石のひとりごと

イスラエルの戦いは、まず人質奪回と、少なくともガザにいるハマスを殲滅することとされている。しかし、生きている人質は、実際のところ50人いるかいないかとされている。その人質を救出に向かう若い兵士達が、もう300人以上も死んでいるのである。

ハマス殲滅についても、昨今、はたして、それが可能な目標かどうかが論じられるようになっている。戦場に息子を送り出したまま、失っていく家族たちはどう感じているだろうか。

日本であれば、すぐにでも戦争をやめよという声が100%かもしれない。イスラエルでもほぼ半数の国民は、そうなっている。しかし、イスラエル人の中には、今、戦いを止めることで、国全体が存続の危機に陥ることを理解している人もおり、息子を失っても戦争は続けるべきだと考える人も少なくない。

イスラエルの場合、それを上からの命令なので、仕方なく、ではなく、進んでそうするということである。それが、社会と個人の一致、軍と個人の一致ということなのである。イスラエルという国の存続には、実に大きな代償があることを覚えたい。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。