ガザへの国際部隊派遣は来年初頭へ延期とトランプ大統領 2025.12.11

US President Donald Trump speaks during a roundtable discussion in the Roosevelt Room of the White House in Washington, on December 10, 2025. (Andrew Caballero-Reynolds/AFP)

ガザへの国際部隊派遣は来年初頭へ延期とトランプ大統領

トランプ大統領は、先週、“2週間以内”、言い換えれば、今年中に、ガザについて、第二段階へ進ませると言っていた。

しかし、12月10日(水)になり、来年初頭にまで延期すると発表した。

第二段階では、多国籍軍による国際安定化軍(ISF)がハマスの武装解除をすすめるとともに、ISFとパレスチナ人文民管理職によるガザ地区の管理を設立していく委員会が立ち上がることになっている。

後者の委員会については、トランプ大統領側近クシュナー氏、ウィトコフ米特使、また元英国首相トニー・ブレア氏、元国連中東問題特使ムラデノフ氏が加わることになっている。

しかし、アメリカ以外にどの国が、ISFとこの委員会に加わるのかは、まだ明らかではない。トランプ大統領は、それについても来年年明けに発表するとしている。

しかし、ハマスは、基本的に完全な武装解除には応じないとしているほか、多国籍軍のガザでの駐留は、「占領」だとして反対を表明している。多国籍軍は、レバノンのUNIFILのように、国境周辺に限ると主張している。

イスラエルにとっても、まだ、最後の人質遺体、グヴィル軍曹が戻ってきていない。ハマスの非武装化も断固として達成するつもりである。ISFにトルコが加わることにも反対を表明している。

これでは、武装衝突になる可能性が高く、明確にトランプ大統領の計画に参加すると公宅に表明している国はない。クリスマスも近いことから、トランプ大統領は、第二段階の発表を延期したと、Times of. Israelの記事は書いている。

www.timesofisrael.com/not-in-time-for-christmas-trump-delays-gaza-peace-board-unveiling-to-early-2026/

複雑すぎるガザの現状:反ハマス勢力増加も期待うすし

ガザ地区では、現在、イスラエル軍が、イエローラインまでの領域、ガザ地区の58%を管理している。200万人近いガザ市民は、ほぼ全員が、その外側のハマスが支配する地域にいる。

様々な情報によると、ハマスは、今も数千人はいるとみられ、停戦になって以来、その地域での支配力を強めている。

最新のニュースでは、6ヶ月前から、ハマスが乳児用食料を、大量に横領していたとの訴えも出ている。それらを高値で売るなどして、人々の従順を余儀なくしている。

また住居を破壊することで、ビーチに住むしかなくなった人々に、借地料を取り立てているといった情報もある。

こうした中、ガザには、反ハマス勢力もいる。先週、南部ラファで、イスラエルとも協力していると言われていた、反ハマス部族の最高指導者、ヤセル・アブ・シャバブが家族間抗争?で死亡した。*イスラエルとの協力はアブ・シャハブ自身は否定

その後、すぐに後継者、ガッザン・アル・デュハイニが立ち上がり、変わらぬハマスへの反抗を表明している。

エジプトの治安関係者によると、反ハマス勢力は、まだまだ小さいものの、増加傾向にあるという。停戦以降だけで、400人増え、今は、1000人になっているとみられている。

新しい指導者になった後も、イスラエルとの協力は継続している可能性はあるが、イスラエルからのコメントはない。

ガザの反ハマス勢力について、西岸地区の大学で国際情勢を教えるパレスチナ人、ガッサン・アル・カティブ氏は、ガザでは、ハマスによって、生活が崩壊したことから、ハマスへの支持は低下していると語る。

しかし、一方で、反ハマス勢力は、イスラエルとの協力が疑われていることから、裏切り者との認識であり、こちらも支持率は低いという。反ハマス勢力は、ハマス鎮圧を目指すイスラエルに利用されていると考えられている。

パレスチナ自治政府に主要勢力であるファタハ(アッバス議長所属)も、反ハマス勢力とは無関係だと強調している。

www.jpost.com/international/article-879895

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。