ガザの有力部族がハマス工作員を処刑:発信続くガザからの声 2025.4.2

先週水曜ベイトラヒヤPalestinians marching in Beit Lahia on Wednesday. NYT

ガザで続く反ハマスの動き

ガザで大規模な反ハマスデモが発生していたが、3日で終わり、その後は発生していない。

しかし、4月2日(火)、ガザ中部のデイル・アル・バラで、その地域で有力とされるアブ・サムラ部族の男性たちが、ハマスとみられる男を路上に連れ出し、そこで処刑する様子を、パレスチナのSNSにアップした。処刑されたハマスは、この部族の一員を殺害していた。

ガザにはこうした有力な部族が存在している。首長を頂点につながっている親族である。これまでに部族間の闘争もあり、ハマスと戦うこともあったという。

この春、ガザ市で有力なドグマシュ部族とハマスの間で、支援物資の配布に関して衝突が発生。この時ハマスは、ドグマシュ部族の首長が他の2人とともに殺害されたとアラブ系メディアが伝えていた。

このころ、イスラエルは、この部族に、戦後ガザの管理をするよう打診していたという。

一方、ハマスは、先週の反ハマスデモを鎮圧し、デモに参加していた22歳男性を殺害して、家族のところに投げ捨てるという残虐なことをしていた。

こうした中で、カッツ国防相は、ガザ市民に、ハマスを打倒し、人質を解放せよと呼びかけているということである。

www.timesofisrael.com/gazan-clan-executes-alleged-hamas-operative-who-killed-one-of-their-relatives/

ガザ内部から発信される声

先週あたりから、ガザ内部に住むパレスチナ人が、イスラエルを拠点とするジャーナリストたちに、何が起こっているのかを発信する機会が続いている。

4月1日、エルサレムのメディアセントラルが主催で、Center for Peace Communications (CPC)のアラブ文化エキスパートのヨセフ・ブラウデ氏により、ガザで反ハマスデモに参加した男性2人と、オンラインでつないだインタビューが行われた。

ガザにいるカリーンさん(仮名)が語ったことを以下をまとめると以下の通り。

1)ガザ市民はハマスを支持していない

人質解放の際に、ハマスは健在で、多くのガザ市民が支持している様子をアルジャジーラなどが報じたが、あれはフェイクだったと言っている。実際に参加したのは、数人だった。

10月7日のイスラエル襲撃に多くのガザ市民が加わっていたといわれているが、事実はわからない。反ハマスデモでは、ハマスに対し、非武装化してガザを去るようにと訴えていた。

人質をとることは、イスラムの人道主義に反している。殺される前に、すぐに解放するべきだ。

これについて、CPCのヨセフ・ブラウデ氏は、ガザ市民の中には、イスラエルに人質の情報を伝えてくる人も少なくなかった。それによって何かを得るためではなく、ただ人質のためを思ってそうしていたと思うと語っている。

2)10月7日の襲撃にイスラエルがこれほどの反応をするとハマスは思っていなかった

カリーンさんは、10月7日の朝、ニュースでイスラエル襲撃を知ったという。市民が多く参加していたとは信じたくない。この時、私たち市民は、イスラエルの反撃を予想した。しかし、ハマスはそこまで計算していなかったと思う。

3)ハマスは死の軍団でファタハ(自治政府)もイスラム聖戦も同じ

カリーンさんは、ハマスは神に遣わされたと信じており、人間などどうでもよい、命はどうでもいいと考えている。ハマスだけでなく、イスラム聖戦もパレスチナ自治政府のファタハも変わりない。

子供たちは、学校で殺すことを学んで、軍事訓練も受けている。

しかし、カリーンさんは、イスラエル軍に対し、私たちとハマスは違う。それはわかってほしいと訴えた。

4)最善はイスラエルと協力して平和になること

カリーンさんは、トランプ大統領が言っているガザ市民全員の移住について、行けと言うなら行く。しかし、豊かな国は受け入れないだろう。とはいえ、今の飢餓状態から新たに経済的な問題を抱える国に行くことはどうかと思う。現実になるとは疑問が多すぎる。

私たちはとにかく平和がほしい。パレスチナの国でイスラエルと共存する形になるかどうかなど、もうどうでもいい。ガザ市民とイスラエルが協力して、住むことが最善だと思う。とにかく、なんでもいいから平和がほしい。

石のひとりごと

ガザの人々の本音は、なんでもいいからとにかく平和をということに間違いはないだろう。もう疲れ切っていることと思う。

イスラエルは今、ハマスの一掃をすすめており、ガザの人々も本音を話せるようになってきたということだろうか。しかし、ここからどこへ向かうのだろうか。

今、ガザでハマス排除を本格的にすすめているイスラエル軍が、短い時間でそれを達成し、人質をとりもどし、ガザの人々とともに、最善の策で平和へ到達するための一歩にたどりつくことができるように。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。