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瓦礫の中で途方にくれるガザ避難民たち
ガザでは停戦になった直後から、すでに数千人が、ガザ北部など、自宅に戻っていったとのことである。しかし、そこで見たものは、全くの瓦礫でしかなく、路上生活になるしかないと途方にくれている。
OCHA(国連人道問題調整事務所)によると、ガザで破壊された建物は43万6000棟が全壊。27万6000棟が半壊となっている。
ガザでは住民の90%にあたる200万人が避難民となっているが、その大部分が、帰る家を失っているということである。
また瓦礫の中からは、倒壊した家、壊れた家具とともに、遺体、人骨や頭蓋骨も出てくるという。死者数は、現在4万6000人と言われているが、おそらくもっと多いとも言われている。
ラファの住民モハンマド・アブ・タハさんは、AP通信に対し、「まるでホラー映画のような光景だ」と語っている。またガザ市在住のアフマド・アブ・アイハムさん(40)は、「停戦になって命が助かったが、この損失と破壊は祝うべきものではない。今は抱き合って泣く時だ」と語っている。
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今後、誰が、ガザの復興を進めるのか、その費用は誰が出すのか、どうやってそれをすすめていくのか、アラブ諸国もまだ動き出す様子はない。
注目されたハマスの健在ぶり?
ガザの避難民がとほうにくれている反面、注目されたのが、ハマスの健在ぶりである。
停戦になり、イスラエル人の人質3人を引き渡すとき、ハマス戦闘員たちは、その大勢が堂々と銃を掲げて、叫び、段取り良く、2023年11月の時と同様に、人質を赤十字に引き渡していた。
トンネルの中にいたハマスが、地上に出てきた瞬間である。おそらく、新たに雇われた戦闘員もいるとみられ、ガザでの支配力を十分維持しているように見えるとの指摘もあった。
イスラエルは、ハマスに勝利か降参か
イスラエルは、人質の解放とハマスの殲滅を目標として戦ってきた。ガザ地区自体は、崩壊しており、復興には相当な年月がかかるだろう。しかし、ハマスは殲滅とは程遠い状態を見せている。
これからガザがどうなっていくのか、国際社会はどう動くのか。今日、就任するトランプ大統領は、これにどう対処していくのか。見通しは、まったく立たない。
イスラエルは勝利したといえるのか、ハマスに降参したということか。これからの動きを見定めていくしかない。
ともかくも、ネタニヤフ首相はじめ、閣僚のほとんどは、人質3人の帰還をなによりも喜ぶ声明を出した。宗教シオニスト党のスモトリッチ氏も、3人の帰還を喜ぶ声明を出した。
また極右のベン・グヴィル氏は、合意に強く反対を表明しており、閣議で合意が承認された後、連立を離脱すると発表していた。
しかし、ともかくも、人質3人の帰還については祝辞を表明し、これは、ハマスへの「降参」ではないと強調していた。