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ガザの反ハマス部族からユダヤ人に新年の祝辞
興味深いことに、ガザ南部で、反ハマスで、イスラエルに協力しているアブ・シャバブ部族武装勢力の副長であるガッサン・ドュヒンが、ユダヤ人に新年の祝辞をフェイスブックにアップした。
記事には、手書きのヘブライ語で、「アラブ・ユダヤ人と、ユダヤ人の皆さん、世界でこの祭りを祝っているすべての人々に、心からの祝辞を申し上げる」と書かれてあった。
ハマスはこれを承認しないと表明。祖国とイスラムの裏切り者と非難した。また、親ハマス活動家は、「ガザの通りを引きずり回す」と、ドュヒンに死の宣告を突きつけたとのこと。
アブ・シャラブ部族は、べドゥイン系のガザ住民、ヤセル・アブ・シャバブをリーダーする武装勢力である。
2024年には、ギャングと目されていたが、その後、ガザ南部のパレスチナ人避難地域で、イスラエル軍が管理するガザ南部のパレスチナ住民の避難地域や、GHFの食料配布センターの治安維持に協力していると報じられていた。
アル・シャバブは、メディアに対し、組織の目標は、民間人の保護し、国際社会に圧力をかけて誰も望んでない暴力のエスカレートを止めることだと言っていた。
www.jpost.com/middle-east/article-868310
ガザで反ハマス武装勢力が成長している!?
地域や、湾岸アラブ諸国のメディアの間では、ガザの反ハマス勢力の拡大を報じているものがある。
たとえば、UAE(アラブ首長国連邦)のアル・アインというメディアが、「ガザで小さな(反ハマス)武装勢力が立ち上がっているが、ガザの問題ははるかに大きい」と題する記事を出していたとのこと。
それによると、地域(ガザ内部)、周辺地域、また国際社会の中でも、ハマスは、ガザ問題の解決に、関わるべきでないとのコンセンサスが広がっていると書かれていた。
そうした中、小さい反ハマス勢力も出てきているが、地域からのサポートが十分ではなく、ハマスに取って代わるほどではないと報告しているとのこと。
www.jpost.com/israel-news/article-868167
またハンユニスでは、元ガザでパレスチナ自治政府の治安部隊をしていたホッサム・アル・アスタル(50)が、反ハマス勢力を立ち上げているとの記事が9月18日のTimes of Israelに出ていた。
アル・アスタルも、ガザ最大の人道地域アル・マワシから1キロ程度のカンユニス南部の村をイスラエル軍に、任されていると言っている。この村は、避難民が出ていったん空っぽになった後、人道地域になっている。ハマスは、こちらも非難している。
アル・アスタルは、ここにいる人々はハマスを望んでいないと言っている。「自分は50歳で、かつて、ユダヤ人がガザにいて、平和に暮らしていた時のことを覚えている。子供たちは平和に学校に行き、遊んでいた。それを壊したのはハマスだ」と語っている。
アル・アスマルもアル・ハバブと同様、ベドウィン系で、二人は、それぞれ独立を維持する中、連絡は取り合っているとのこと。
www.jpost.com/middle-east/article-868310
www.jpost.com/israel-news/article-868167
石のひとりごと
アル・アスマルが言っている通りである。実際に取材したが、当時、イスラエル人とガザのパレスチナ人は、それなりに平和に共存し、友人であった人も多かった。まさに、これを完全に破壊したのがハマスなのである。
ガザ住民による反ハマスの人々の動きはまだまだ小さいようだが、それが大きくなり始めていることに少しの光も感じる。しかし、今に至るまで、まだ勢力が小さいままであるという点からも、ことはそう単純ではないだろう。
ハマスを最強の言葉で非難するガザ住民としては、ハマスの息子の、モサブ・ハッサン・ユーセフ氏がいる。この人がガザを収めたらとも思うが、ユーセフ氏は、キリスト者なので、イスラムの人々を収めることはありえないだろう。
ただガザの人々の中でもハマスを憎む人がいる、ありうるということは確かだということである。
国際社会は、今、まさにパレスチナの国家承認で大騒ぎしているが、現場の混乱を見れば、国どころではない。ガザはこれからどうなるのが一番よいのだろうか。
ガザの人々、その隣人であるイスラエルの人々の上に、本当の平和がどうか実現するように。
