ガザで救急隊15人死亡の件:イスラエルへの追及と非難 2025.4.7

Khan Yunis in the southern Gaza Strip on March 31, 2025. (Eyad BABA / AFP)

ガザでは、先週3月31日(月)、ガザ南部ラファで砂地に赤新月社(イスラムの赤十字)隊員ら15人の遺体と、破壊された救急車と消防車を発見したと国連人権調整事務所(OCHA)が発表。殺戮は、イスラエル軍によるものであり、遺体回収の報告もなく、隠蔽しようとしたと非難した。

これを受けて、イスラエル軍は、28日(金)、救急車と消防車を攻撃したことを認めた。しかし、当時、不審な車が近づいてきたので、救急車だとは知らずに発砲したと説明した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/un-says-15-palestinian-medics-killed-by-idf-in-gaza-found-buried-in-mass-grave/

ところが、それから約1週間後の4月5日(土)、ニューヨークタイムスが、当時現場にいた救急隊員が携帯で撮影したとされる映像を発表。

それによると、事件当時、救急隊は明らかに救急隊であるサインを点灯しており、イスラエル軍が、不審な車両が近づいてきたという説明と食い違っていると主張した。撮影者の名前は、その家族がイスラエルの報復を恐れていることから公表されていない。

先のイスラエル軍の証言を食い違っていることから、再度調査すると発表。これまでにわかったところによると、23日午前4時、ゴラニ部隊の兵士たちは、現場のテル・スルタンで朝4時に待ち伏せ作戦を開始した。この時にも何台かの救急車が通ったと言っている。

それから30分ぐらい経った4時半ごろ、ハマス警察の車が通過したため、ゴラニ部隊は攻撃を開始。戦闘の後、車内に5人いた中、1人が死亡。2人を拘束した。ハマス車両は道路脇に停まっていた。

その後6時ごろ、救急車と消防車などの車両群が現場に到着。この時、上空にいたドローンが、不審な車が近づいていると、警告したため、ゴラニ部隊は発砲を開始した。

ハマス側は、イスラエル兵が、救急隊員たちを至近距離で射殺したと主張したが、これについて、イスラエル軍は否定している。

イスラエル軍は、死亡した15人のうち、少なくとも6人はハマス戦闘員であることを確認したあと、軍は、遺体を砂地に埋め、国連に回収を求める連絡をした。

ところが、その後、国連は遺体の回収に来ることができず、8日たってからようやく発見したとイスラエル軍は説明している。このように、イスラエル軍は、遺体を隠蔽したことも否定した。

国連は、2023年10月7日に、この戦争が始まって以来、ガザでは1060人の医療従事者が死亡したと言っており、今後、この問題が国連で問題になっていくとみられる。

イスラエル軍は、ハマスが、医療現場で活動していると訴えている。

www.timesofisrael.com/idf-shares-initial-details-from-gaza-ambulance-probe-says-troops-told-un-of-burial-site/

石のひとりごと

個人的な感情ではあるし、実際はどうだったのかはわかないのだが、すべてが、イスラエルに対する、できすぎた、いじめのように感じられなくもない。

国連は、まず最初にイスラエル人がハマスのどんな残虐な暴力を振るわれたかは、ほとんど論じず、イスラエルがしたことには、厳しく指をさしている。反イスラエルの流れの波の一つのようにも感じる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。