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ガザ:ハン・ユニス激戦中アルジャジーラなど国際記者2人死亡
ハマスとの戦闘開始から94日目。イスラエル軍のハガリ報道官は、イスラエルは、ガザ北部のハマスの軍事的な枠組みを解体を解体したと発表した。
ガザ南部、特にハマス指導部が隠れていると目されるハン・ユニス難民キャンプエリアへの焦点を当てた攻撃を続行している。
空爆は100回以上に上っており、ガザからの情報によると、死者は、7日24時間で100人死亡するなど、累計は、2万2835人となった。(イスラエル軍によると、このうち8500人は、ハマス戦闘員)
7日の死者の中には、ラファ近郊で、乗っていた車両がドローンによる攻撃を受けて死亡した、ジャーナリスト2人が含まれていた。
一人は、アルジャジーラ(カタールのメディア)のガザ地区特派員ワエル・ダフドウさんの息子で、同じく記者のハムザさん。
ワエルさんは、昨年10月にもイスラエルの攻撃で、妻と別の息子、娘と孫を失っていた人である。
もう一人は、カタールに拠点を置くAFPの記者ムスタファ・スリムさん。車にはもう一人、ハゼム・ラジャブさんが乗っていたが、重傷となっている。これについて、イスラエル軍は、地上軍の動きを妨害しようとしていたテロリストの車が見えたので攻撃したと説明している。
一方、イスラエル軍は、ガザ南部、特にハン・ユニスで前進し、ハマス戦闘員との激しい銃撃戦を続けながら、大量の武器や重要インフラなどを発見と押収を続けている。
新たな情報としては、精密な巡航ミサイルなどの戦略兵器の部品が発見されたことである。
これまで、イスラエルは、イランがヒズボラにこうした精密な武器を搬入しようとしていたことは察知していた。しかし、ハマスにまでその試みが行われたいたとは考えていなかったという。ハマスの背後にイランがいたことを証するものである。
また診療所では、UNRWAのマークがついた袋に防弾チョッキが入っている武器などを発見した。UNRWAについては、トランプ前米大統領が過激派と繋がっているとしてアメリカからの支援を停止した組織である。
北部ヒズボラ情勢:反ヒズボラ勢力の動きも
1)ハマスのアロウリ暗殺への報復攻撃の実際
北部国境では、6日、ベイルートでハマスNO2のアロウリが空爆で暗殺されたことへの報復の“一部”だとして、ヒズボラが、ロケット弾や対戦車砲を発射してきた。
結果的には、国境からイスラエル領内8キロ地点のメロン山頂上付近に40発(合計で62発)が発射されていた。以下はヒズボラが発表したクリップ
この一連の攻撃により、イスラエル軍のレーダードーム2基が破壊されていた。しかし、機能が麻痺することはなかったとIDF報道官は報告している。
これに対し、イスラエルは、レバノン南部のヒズボラのインフラを戦闘機による攻撃で破壊した。そのうちの1箇所が大爆発であったことから、武器庫があったと推測されている。
2)反対ヒズボラ勢力がベイルートの空港をハッキング
イスラエルとヒズボラの戦闘拡大がリアルになってきたころ、ベイルートの国際空港が、反ヒズボラ組織にハッキングされた。
離陸着陸のインフォメーションスクリーンに、「ヒズボラが、イスラエルと対立してレバノンを危機に陥れようとしている。ナスララよ。レバノンに戦争をもたらす責任はあなたにある。人々はあなたと支持しなくなるだろう。この空港は、ヒズボラとイランの空港ではない。」と書かれた文字が映し出された。
そこには出どころとして、「神の兵士たち」というキリスト教強硬派の団体と、「声を上げる者」という団体名が記されていた。しかし前者は関与を否定している。
www.timesofisrael.com/beirut-airport-screens-display-anti-hezbollah-message-after-being-hacked/
BREAKING:
Christian Lebanese hackers launch a cyber-attack against the Beirut Airport, forced it to close down.
Messages appeared at all screens, condemning Hezbollah & Iran for trying to drag Lebanon into war with Israel.
Message in comments ⬇️ pic.twitter.com/PWjcLc0jp7
— Visegrád 24 (@visegrad24) January 7, 2024
その後、北部では、7日夜レバノン国境付近の少数の地域でサイレンはなったが、以後なっていない。
www.timesofisrael.com/idf-admits-mount-meron-air-traffic-control-base-damaged-in-hezbollah-attack/
ブリンケン米国務長官中東諸国訪問
ガザとの戦闘から、戦火がレバノンのヒズボラへ、そこから中東へと拡大する懸念が出てきたことから、アメリカのブリンケン国務長官が、急遽、中東入りして沈静化をこころみている。
最初に訪問したのは、トルコ。続いて、ヨルダンのアブドラ2世国王、首相と外相と会談した。次に訪問したのはカタール。
ちょうどアルジャジーラの記者二人が死亡した時であったので、ブリンケン国務長官は深い遺憾を表明した。続いてUAEを訪問。
本日は、カタールからサウジアラビアへと向かう。その後火曜日から2日間はイスラエルで、最後水曜はエジプトを訪問する。
ヨルダンはじめ中東諸国は、ともかくイスラエルに攻撃を停止させるべきだと主張している。また、イスラエル政府内には、極右政治家らが、ガザにいるパレスチナ人を別の場所へ移住してもらい、ガザには再びユダヤ人が住むべきだとの発言があることについて、激しい批判が広がっている。
ブリンケン国務長官は、アメリカはこれに全く賛同していない。ガザのパレスチナ市民は、自宅に帰ることをアメリカは支持していると伝えている。
ヨルダンのアブドラ国王は、イスラエルを止めるのはアメリカの役割だと語った。
ブリンケン国務長官は、カタール訪問中、ドーハにて、「今はこの地域での深刻な緊張の時。戦火が広がる可能性があり、新たな苦しみを増し加える事態になりうる。今それを止めようとしている。」とその緊張を語っている。