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カザフスタンの暴動でイスラエル人1人巻き添えで死亡
今年2日から始まったカザフスタンでの暴動。不安定なカザフスタンにロシアと中国の介入が目立ち始め、すぐ近くのウクライナでロシアと対峙するアメリカは、不快感と懸念を表明している。
この暴動の中で、イスラエル人のルーベン・コゲアシュビリさん(22)写真 が、デモに加わってはいなかったが、巻き込まれて死亡した。ルーベンさんは、数年前からカザフスタンに住んでおり、最近結婚し、まだ乳児の息子がいた。
カザフスタンは、国民の70%がイスラム教、26%がキリスト教の国である。ユダヤ人も数千人おり、ユダヤ人コミュニティもある。
カザフスタンとイスラエルの間には2004年から正式な国交があるが、2016年に、ネタニヤフ首相が、首脳として初めてカザフスタンを公式訪問。原油や天然ガスなど天然資源が出るカザフスタンと良好な関係を持つことは重要なことであった。
しかし、今回のカザフスタンの紛争については、まもなく鎮圧されるとみて、ユダヤ人たちを救出する計画は今の所ないと外務省は言っている。
www.timesofisrael.com/kazakhstan-unrest-adds-uncertainty-to-us-russia-talks-on-ukraine/
カザフスタン情勢:中露が鎮圧支援に乗り出す
カザフスタンでは、今年1月2日、駅か石油ガスの価格が急に倍になったことをきっかけに、アルマトイはじめ、各地で、暴力的なデモ活動が始まった。
トカエフ大統領は非常事態宣言を発し、4日、内閣を総辞職させた上、石油ガスの価格を以前のものに戻したが、デモは治らなかった。
カザフスタンは、1991年に旧ソ連から独立した国の一つである。その後の国を導いたナバルバエフ前大統領(2019年にトカエフ大統領に交代するまで、30年間君臨)は、ロシアとの関係を継続し、国は、期待されたような民主国家にならなかった。
このため、国民の不満が積みあがっていたようである。デモの原因は、石油の値段にとどまらず、実質的には、この前大統領に向けられたものとみられている。
トカエフ大統領は6日、ロシアと、旧ソ連5カ国からなる集団安全保障条約機構(CSTO)に支援を要請。これを受けて、ロシア軍主導の5カ国軍(2500人)が6日、カザフスタンに入っている。
その後、トカエフ大統領は、デモをテロ活動であると断定、治安部隊に、予告なしの発砲を許可したので、これまでに164人が死亡。2200人が負傷。5800人が逮捕される事態になっている。一時、インターネットが不通となり、状況が見えなくなっていたが、今は回復しているとのこと。
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カザフスタンは、原油や天然ガスの出る重要な国である。アメリカのブリンケン国務長官は、ウクライナ情勢が緊張する中、ロシア軍が、カザフスタンに入ることに懸念を表明し、カザフスタンは、国内問題なのだから、ロシアに援助を求めたことは理解できないと、明らかな不快感を表明している。
また、一帯一路を通して、カザフスタンと深い関係にある中国は、これまで様子見であったが、10日、カザフスタン政府を支持すると表明。デモの鎮圧を支援すると発表した。トカエフ大統領は、米露に対し謝意を表明している。
カザフスタンもまた、民主国家から専制主義国に傾いていくような様相である。これが今後、ウクライナ情勢にどう影響していくか、注目されている。
www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/0301/84b8e6b892e8c4ed.html