シナイ半島で武装組織に16人の警察官を殺害され、本格的軍事的にシナイ半島の治安に乗り出しているエジプト。武装組織を空爆し、多数のテロリストを逮捕している。
またガザの地下トンネルを使ってシナイ半島に出入りしていることがわかり、エジプトはトンネルの閉鎖を行っている。こうした強行とも言える徹底した軍事行動により、大統領の力を誇示し、「救世主のムルシ(大統領)」のイメージが打ち出された形となった。
<元軍最高評議委員会・タンタウィ国防相を更迭>
元ムバラク政権下で働き、政権が倒れたあとは軍最高評議会として国を治めたタンタウィ氏。いったん国防相に任命したムルシ大統領が昨日、突然同氏に対して定年退職するよう命じた。タンタウィ氏とともに軍のNO2も更迭された。タンタウィ氏は、続けて大統領アドバイザーになるが、実質は更迭である。
<大統領に権威を与える新憲法を発布>
大統領の権威を制限する前の憲法は、上記軍最高評議会が暫定的に発布した物だった。ムルシ大統領はタンタウィ国防相の更迭とともに、前の憲法を廃案とし、新しい憲法を発布した。
シナイ半島の混乱に乗って、ムルシ大統領がエジプト政権を一掃した形である。イスラエルは、ムスリム同胞団の背景を持つムルシ大統領とエジプトの動きを注意深く見守っているところで、そろそろムルシ大統領との会談をするべきではないかとの意見も出ているところである。