懸案になっていたエジプトの新憲法。イスラム主義に傾きすぎだとして反対する勢力と、憲法制定を急ぐムルシ大統領(イスラム主義団体・ムスリム同胞団)が激しく対立していたが、2回目の国民投票を経て承認され、26日、正式にエジプトの新憲法として施行されるに至った。
新憲法への賛成票は63.8%、反対は36.2%だった。ムルシ大統領は、「エジプトは新時代を迎えた。」と語り、これからは落ち込んでいる経済改善政策を第一にすることを明らかにした。
大統領は、反対勢力に対し、和解して共に前進するよう呼びかけてているが、反ムルシ派は、国民投票に不正があったとしてあくまでも対立していく姿勢である。また今後、新憲法下のエジプトが本当に民主国家になるのか、独裁的なイスラム主義国になっていくのかどうか注目されるところだ。
憲法制定を受けて、エジプトでは2ヶ月以内に下院の選挙が行われ、議会政治の再開となる予定である。
<エジプト人活動家がイスラエルで講演>
エジプトで民主化デモを行った指導者の1人で、ブロガーとしても知られるマイケル・ナビール・サナードさん(27才・写真)が、苦労の末、国連の人権保護団体の支援を受けてイスラエルのビザを取得、ヘブライ大学で講演を行った。
サナードさんは、かつては民主国家として反映していたエジプトが、ナセル大統領の時代から独裁になり、同時に経済力も落ちていったという歴史を語った。
これに反対して立ち上がったエジプトでのアラブの春で、最初は純粋な民主化運動だったが、第二段階では、軍暫定政権に支配され、そして現在の第三段階は、イスラム主義の台頭だと語った。この間、民主主義の実現に奔走してきたサナードさんは、軍に何度も逮捕され、302日間刑務所に拘束されて拷問も受けたという。
アラブ民族主義が架空であると語り、「アラブ民族主義とシオニズムは互いに依存している。中東では共存するしか道はない。」と大胆に発言。次にイスラエルが民主国家であることを高く評価する発言をすると、前列に座っていた親パレスチナの女子学生らが立ち上がって激しく非難をしはじめ、20人くらいが退席していった。
サナードさんは、無神論者だと言っていたが、ハマスの息子のモサブ・ハッサン・ユーセフさんと同様に、内側から事実を摘発する若者はエジプトにもいるということである。なお、サナードさんは現在ドイツに在住している。